角ある神について

@kabotyapumpkin

預言の獣

妖怪全集 著:杉山幸男 國書出版社 1995


件(くだん):人面牛身の妖怪。予言獣。牛から生まれ、疫病や戦乱、飢饉など災禍について予言し、それの対抗策を教えその後すぐに死ぬという。件の絵を見ると病にかからない、という内容が一般的である。比較的近年から目撃され始めた妖怪で19世紀から戦前にかけて記録が残っている。発祥地は正確には不明だが山陽、近畿地方と考えられており江戸時代後期の瓦版の普及とともに全国に広まったと考えられている。…




怪奇!?ナゾのUMA、牛女の正体に迫る!! 

「アトランティス」1990年7月号 学術探求社


皆さんは今話題のUMA(未確認生物)、牛女についてご存じだろうか?牛女とは兵庫県南東部のK寺に出没する牛の頭に人間の身体を持つUMAだ。アメリカのゴートマンなど頭が動物のUMAは今どき珍しくないが、牛女の面白い点は「振袖のような赤い服」を着ていることだ。年々、厳しさを増す規制からはUMAですら逃れられないということだろうか?

それはともかく、牛女はK寺の「荒神あらがみさま」の祠でよく目撃されている。「荒神さま」は意外にもその名前に反して魔物や災難を追い払ってくる良い神様だそうだ。別名を「牛荒神ぎゅうこうしん」とも言い、牛を守護してくれるとして信仰されることもあるという。

(中略)

我々は幸運にも、牛女を目撃したという人物(以下A氏)へのインタビューに成功した。以下がその内容である。

(中略)

記者「やはり祠の近くで見かけたんですか?」

A氏「いいえ。確かに一時期はそういう噂が立っていましたけど、最近はその近くの洞窟にいると言われています。確かに中が真っ暗で雰囲気があるんですよね。私が(牛女を)見たのもそこです。」

記者「なるほど。やはり姿はこのような?」(頭が牛の振袖を着た女性のイラストを見せる。)

A氏「ええ。噂通りでした。とはいっても洞窟の中にいたのを外からチラッと見ただけなので正確にはわかりません。怖くてジックリ見てる余裕なんてありませんでしたよ。それに暗かったので振袖がどうかも見分けがつきませんでした。ただ赤かったのは確かです。」

記者「そうですよね。他に気が付いたことはありますか?」

A氏「うーん。…そういえば姿が見える前に地面がこすれるような音がした気がします。こう、ズルズルッ、ていう感じの。もしかしたら垂れ下がった服が地面をこすっていたのかも。それこそ振袖のような長い裾のある服ならありえますよね。それ以外はちょっと思いつかないです。」

記者「ありがとうございました。大変興味深いお話でした。」

その後、調査を行ったところどうやらこの「洞窟」とは「八大龍王」という多頭の竜や蛇の姿をした水神を祀っている聖域であることが判明した。牛の守護神である荒神さまの祠に出るならともかく、蛇の神様の洞窟ともなるといよいよ訳が分からない。

(中略) 

ちなみに荒神さまは魔物を追い払ってくれる良い神様だがその一方で正しく祀らなかったり雑に扱ったりすると祟りが起こる恐ろしい神様であるらしい。もしかしたらこの記事を読んでいるあなたも…。ああ恐ろしや。くわばら、くわばら。




休載のお知らせとお詫び

「アトランティス」1990年8月号 学術探求社


いつも『アトランティス』をご愛読いただき、誠にありがとうございます。

今月の人気コーナー「UMAの正体に迫る!!」は、やむを得ない事情により休載とさせていただきます。現在、編集部内で感染症による集団罹患が発生しており、再開の目処は未定となっております。

読者の皆様にはご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。一日も早く通常の掲載を再開できるよう努めてまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

今後の掲載予定につきましては、決まり次第改めてお知らせいたします。

引き続き『アトランティス』をよろしくお願いいたします。

学術探求社 編集部




「疫病」 ものの民俗史シリーズ 著:大杉和姫 法山大学出版会 2024 年


…予言獣と呼ばれる妖怪のグループがある。予言獣とは疫病をはじめとする災害の予言をし、またそれを避けるための手段を教えてくれる妖怪のことだ。なお、この避けるための手段は「予言獣の絵を見ること」である場合が多い。

予言獣はその大半が、牛に似たものか魚に似たもののどちらかに分類できる。牛に似たものの代表格は「クダン」で、「ハクタク」なども含まれる。魚に似たものの代表格は「神社姫」で、コロナ禍で一躍有名になった「アマビエ」などもここに含まれる。

では牛に似た予言獣から紹介しよう。

(中略)

続いて、魚に似た予言獣を紹介しよう。ただし、魚と言ってもアジやマグロなどではなくウナギやヘビに似ている。このグループの代表格、神社姫は二本の角と三つに分かれた尾鰭、赤い腹が特徴的な人面魚だ。この三つに分かれた尾鰭という特徴はあのアマビエの特徴的な三本足を連想させる。実際、地理的分布や時代背景からアマビエは神社姫から派生した、という説も存在する。最初に目撃されたのは…

(中略)

またこの二つの分類群の中間のような存在として昭和八年に報告されたクダンが当てはまるかもしれない。牛から生まれたという点では通常のクダンと同じなのだが、その姿は蛇に似ていたとされ諏訪大社の祭神を名乗ったという。…




第四弾「牛女」  GD3ブログ「妖怪研究考」より


妖怪や都市伝説を考察するシリーズ、第四弾 今回は「牛女」について(いつも通り妄想を交えながら)考えて行きます。

牛女とは…

(中略)

私が興味深いと思った説は、牛女はあの予言獣「クダン」の伝承がもとになっている、というものです。たしかに地理的にも近いんですよね。それに牛女が予言をしたという説もあるそうです。


ここからは私の考察なのですが、ずばり牛女の伝説はクダンを含めた予言獣から生まれたのではないでしょうか。例えば「牛女」は第二次大戦の混乱に乗じて、座敷牢から抜け出した不詳の子だとする説があります。大戦を境に予言獣の発見がなくなることと対照的です。また、「牛女」が出る洞窟で祀られている「八大龍王」や「ズルズルという音」も予言獣である龍や魚に似た「神社姫」(詳しくは第二弾を読んでください)を連想させます。それに、予言獣は自身の姿を見れば助かる、という対処法まで教えてくれることが多いんですけれども牛女にも姿を目撃すると自分も牛女を産んでしまう、みたいな話があります。


というわけでちょっと無理やりですけれども「牛女=予言獣」説を提唱します!

面白かったらぜひweb拍手お願いします(笑)


ちなみに牛女の噂は1990年代半ばに自然消滅したようです。多分そんなバカげた話を気にするほどの余裕が無くなったからでしょう。矛盾するようですが、平和な世の中だからこそ都市伝説や怪談が流行るということでしょうか。


ここからは完全に余談ですけれども、神社姫とリュウグウノツカイってちょっと似ていますよね。両方とも蛇みたいな魚で、赤く、角(みたいな鰭)を持っていて竜宮に関係する(神社姫は竜宮から来ると言われています)。なにより両方とも災害の前兆です。

あと予言獣の、自分の姿を描いた絵を見れば助かる、の下り一昔前に流行った不幸の手紙とかチェーンメールに少し似ていますよね。やっぱり時代が違っても、流行ることは変わらないのでしょう。

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