君と何度でももう一度
らい
出会い
高校生二年生の夏。
「皆さん、もう少しで夏休みですが気を抜かずに。」
先生のそんなことを聴きながら外を眺めていた。
「希良!今日帰りゲーセン寄って帰ろうぜ!」
「お!いいね〜!何取る?!」
「俺、新作フィギュア欲しいぃ〜」
「僕に任せなさい。」
明るく、元気。そんな僕とは正反対な子が居た。
「なぁ、あの子って、…」
「あぁ、白花さん?いつも無表情でちょっと怖えんだよな。」
「……」
スタスタ
「ねえねえ!白花さん!」
「…」
「僕のこと知ってる?!あ、同じクラスだから知ってるか。夜一希良(よいちきら)!よろしく!!」
「…私の名前、白花(しろか)です。」
「しろはなさんじゃないか!ごめん!下の名前は?」
「…奈々です。」
「奈々ちゃん!よろしくね!」
その日、何故か僕は、無表情な彼女に惹かれた。
⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯
「奈々ちゃん〜!お昼一緒にどう?!」
「…お好きにしてください。」
「やった〜!今日の数学むずかったね〜」
周りから見ても一方通行。
何故話しかけるのか不思議がるような、異様な光景。
「なぁ、希良、白花さんに話しかけて大丈夫か?」
「え?なんで?」
「知らねぇのか?関わったやつは皆転校していったって噂。」
「へぇー。で?」
「で?って、」
「奈々ちゃんそんなに悪い子じゃないと思うし、話してみないと分からないこともあるだろ。」
「希良、…」
そこから友達が減ったのは言うまでもない。
【いじめている】【興味本位で関わって彼女を壊そうとしてる】
なんてありもしない噂が流れ始めたのもこの頃だった。
「…夜一さん、もう私と関わらない方がいいですよ。」
「…噂、気にしてる?」
「…」
「僕、どうしても奈々ちゃんを笑顔にしたいんだ。僕の勝手なお節介かもしれないけど、わがままかもしれないけど、見たいんだ!君の笑顔が!」
「…!
わ、私は…何が楽しいとか、何が悲しいとか、分からなくて…」
「なら僕が教えてあげる!」
その日から僕らは感情を見つける為に色々なことをした。
「奈々、これ分かる?」
「なんです、その箱は…」
カチャ
「いくよ?」
ポンッ!ビョーン!
「…っ!び、ビックリしました…」
「あはは!あっ!僕が笑っちゃ意味ないじゃんか!」
「仕掛けたのはあなたでしょう?」
「あちゃぁ…」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「奈々!じゃーん!プレゼント!」
「…?」
「あはは、びっくり箱じゃないよ!大丈夫!」
パカッ
「これは…、ブレスレット、ですか?
とても、歪な形ですね…」
「手作りなの!どうどう?」
「とても素敵です。ありがとうございます…」
「くそぉ!笑わないかぁ〜!」
「なんだか、申し訳ありません…」
「いいのいいの!ゆっくり行こ〜」
一方通行でもいい。
君の気持ちが分からなくてもいい。
いつか必ず、僕と同じ気持ちにしてみせる。
君と何度でももう一度 らい @rai_ai_1229
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