第八詩・正体不明の姉の顔
あたしの顔の上にかぶさった弟の顔が何かを喋っている。
あたしについて、喋っているとわかる。
でも、弟が何を喋っているのかはわからない。
あたしの顔と、弟の顔が生きている次元は違うのだから言葉は通じない。
弟は、いまいましそうにあたしの顔を、皮膚の上から押さえて撫でる。
あたしを異物のように扱う弟は、あたしの顔を裏側からナメる。
ボクの頬の裏で姉の顔が何かを呟いている、姉の顔はボクの頬皮膚のすぐ下の裏側に浮かんでいる。
舌で姉の顔を裏側から、いまいましそうにナメる。
その日、あたしの顔と弟の顔が入れ替わった。
あたしの顔が表側、弟の顔が頬の皮膚下に入れ替わった。
いまいましい、弟の顔と入れ替わった。
詩海文章〝クトゥルフ詩〟~死の星より森地の闇に降り立った者たち~ 楠本恵士 @67853-_-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。詩海文章〝クトゥルフ詩〟~死の星より森地の闇に降り立った者たち~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます