第3話 素敵な貴女との巡り会い

  話が良く分からないのだと、知らせる彼の首を傾げたままで、ぱちくりする姿を、見上げる初老の男性は、ゆっくりと右手を胸に当てにいき、「それは、私の罪であり、」何度も右手に力を入れ、震える右手で、胸を鷲掴みにする初老の男性は、悔やむ、「私が受けるべき罰なのだ。」

 

  ”ドクンー”忽然、胸の奥を、貫く一言を、ダイレクトに、投げに来た初老の男性が紡ぐ話に、心臓が揺さぶられる秘書は、胸の奥からこみ上げに、来る感動の渦に、眉間を軽くくすぐられ、悲しく鼻を啜る、「総統…」


  「私には、」まったりと胸の奥を、満たす沈み、澱む空気に、重たい気持ちが、ますます強くされる初老の男性は、ぼんやりと天井に悲しみに感染される瞳を向く、「無力さを今までのように恨んで来たけれど、」唇から零れるため息混じりの言葉に、口元がからかわれる気がし、引き攣る口元を、軽く上げる初老の男性、「恨んだところで意味ないし、」


  ゆっくりと霞む視野の中で、隣りで佇んで、軽く渇いた唇を、開ける秘書を見つめる初老の男性、「もう全力を尽くすのに、」胸の奥を満ち、溢れ出る悲しみに、苦笑いする初老の男性は、軽く両手を握り、自分にはもしかしたら神に、世界を救ってくれと、朧気になる視野よりもずっと、不確かな願いを天に、捧げる他ないのだろうかと、もしそのような事をしたら、星の命運もまた終わり近づくのではと、切実に思う、「まだ無理なのは悲しいや。」


  ”ピピー”突然、初老の男性の話を遮る、小気味いい音を立てた携帯電話に、視線を宿られる気がし、戸惑う秘書は、机の上に置かれた初老の男性の、使い古されてた携帯電話に目線を向け、葉で作り上げる輪っかの如くデザインをする携帯電話の、黒い画面に浮かんだ深い紫色の粒に、困り小首を傾げ、「お電話ですよ。」


  「そんなはずないよ、」ゆっくりと背中を、回転椅子から離れる初老の男性は、右手を伸ばし、携帯電話を握り、眉毛を顰め、「ぺんぺんとか、歌ってないのではないか。」右手にある携帯電話を、握りしめる初老の男性は、猛然と視線を顔を映し出す携帯画面から秘書に向け、己の娘の可愛い声も、聞こえないと言うのに、気分を煩わせる電話なんて、出たくないよと、叫んでみたい彼、「それが聞いないのに、」


  強めに両手を握る初老の男性は、話の真意を、分からないである秘書の、ぼける顔を睨み付け、少々怒り、大きな声を上げた、「仕事してられるかってんだ!」初老の男性の怒り、頬が赤くなる姿にぱちくりし、どんだけ娘を好いるのやらと、相手に飽きれる感情を、強く抱いて秘書、「は、はぁ…」ぼんやりと唇を開け、初老の男性の白い髪を、映し出す携帯画面と彼の頬を交互に見る秘書は、漠然と少々弱る声を零す、「電話なのかどうかは…」苦笑いする自分に目線を引かれる総統に、右手の人差し指を立ててる秘書は、提案する、「確かめた方が良いかと。」


  秘書の言葉には、一理あるなと思い、軽く携帯電話に触れる初老の男性は、携帯画面にある、白い髪した少女の姿に、嬉しく微笑み、ステージの上で佇んで、世を照らす女神の利佳が、片手に百足の如く縫い跡が、造形されてた黒い睫毛の如くマイクを握った瞬間に、止まり、輝く眼差しに目を細め、今にも歌い出す彼女に心を囚われてく。


  刹那、携帯画面にある利佳の、艶やかなピンク色の唇の微かな動きに戸惑い、軽く首を傾げる初老の男性は、漠然と意識が朦朧とする自身に、青色の瞳を向く写真に、心臓が震える思いを、植え付けられる彼。

  

  「よくぞ言ってくれましたね~」自分らに、話しかける待ち受け画面の喋る姿に、見開かされ、漠然と唇を開けて秘書、「えっ?」心にある、戸惑いを代弁する、間の抜けた声色を発した秘書に、苦笑いする初老の男性は、右手にある生きてる画像に戸惑い、唇を開ける。


  左手に緑色の光を放つ、黄色の手袋を付けた、ピンク色の基調のコスチュームを着こなした、携帯画面にある利佳は軽く人差し指を、左頬に当て、なまめかしい眼差しを、絶句する初老の男性に向け、「この星の大統領さん~?」太陽に照らされる海の如く、潤んだ青色の瞳が、瞬く間に深い紫色に、侵食される現在に、胸の奥にある不安がエスカレートし、驚愕となり、こじ開けられる唇で感じる初老の男性は、恐る恐ると喉元に、強く引っ掛かる唾液を飲み込み、弱い声を零し、この星を支配する邪念のもとから、全力で守るのだよと、歯を噛み締める、「どうな…」


  急に動き出した利佳の写真に、畏怖を覚え、心霊現象なのではないと、やけにリアリティを感じさせ、とてもじゃないけど、人類のいたずらと思えない携帯画面に、ぱちくりする初老の男性は、確実に自分を見てる利佳の写真に、額がハンマーにぶん殴られた気がし、ぽつりと震える喉から声を絞り出した、「ってるんだ…?」


  あまりにもの衝撃に絶句され、長年自分と付き合って来た瞳と耳を、疑う初老の男性は、見せつける、両手を腰に当てる利佳の、自慢する表情を浮ぶ写真に、見開かされ、ニヤリとピンク色の口元を上げる利佳の写真の、嬉々とした現在に眩暈を感じる。

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