こんな【ももたろう】はイヤだ。

レッドハーブ

こんな【ももたろう】はイヤだ。

むかしむかしのお話です。あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へ芝刈しばかりに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。


おばあさんが川で洗濯をしていると…

川の向こうから大きな桃が流れてきました。


「はぇ〜おっきな桃じゃ…!」


おばあさんは桃を持ってかえり、おじいさんと2人で食べることにしました。


いざ、包丁で桃に切れ目を入れると…


ぱっか〜ん!


中からすっぽんぽんの男の子が出てきました。


「桃から産まれた男の子…桃太郎じゃ!」


それから月日は流れ…

見たままをそのまま名前にされた桃太郎は、体が大きくなり、やがて村一番の力持ちになりました。


ある日のこと桃太郎が畑仕事から帰ると、村が破壊されていました。村人に聞くとどうやら鬼たちにやられたそうです。


おじいさんは言いました。


「すまんが桃太郎や。鬼退治に行ってくれんか?」

「おじいさん!まかせてください!」

「たのんだぞ」

「はい!…ところで仲間はどこに?」

「すまないが…仲間は現地調達じゃ」

「…………え?」

「鬼がまた攻めてくるかもしれん…。ある程度の男手を残しておかにゃならん…すまない」


(子ども1人を戦場に行かせるなんて…。この人たちは鬼だ…!別の意味で…!)


いろいろ思うところはありましたが、今日まで育ててもらった恩も考え、桃太郎は鬼退治をすることにしました。


次の日に桃太郎は、おじいさんから武器と防具をもらい、おばあさんからきび団子をもらい、村を出ました。そうして道を歩きながら考えました。


(でも1人はなぁ…。やっぱり仲間が必要だ)


そう考えた桃太郎は、きび団子と口八丁で犬、猿、きじをそれぞれ仲間にし、船に乗り鬼ヶ島に向かいました。


「いざ!決戦のとき…!みんな!これを!」


みんなで一緒にきび団子を食べました。

すると、力がみなぎり、圧倒的ぱわーで

鬼たちを次々に倒していきました。


「鬼め…!覚悟しろ!!」

「待て!!殺してはだめだ!」


止めを刺そうとする猿を桃太郎はとめました。


「桃太郎さん!?でも…こいつらは村を!?」

「いや…殺すより、村で労働力として使おう」

「……………え?」

「男たちは力仕事をしてもらい、女たちは農作業をしてもらう。…死ぬまで働いてもらおう」

「それはいい考えっスね。へっへっへ…」

「あと若い鬼娘たちには…語尾に『だっちゃ🖤』をつけて生活してもらおうかな」

「それもいい考えですね。ふひひ…」


鬼の1人がぽつりと言いました。


「鬼だ。こいつらの心には…鬼が住んでおる…!」

「…ん?なんか言った?」

「い、いえ…なにも…」


桃太郎は鬼の肩に優しく触れました。


「心配しなくていいよ、きちんと働けば報酬は払う。休日もある。俺も鬼じゃないからねぇ。ただ逃げたり、さぼったりすると…家族や仲間が不幸になるかもね」


桃太郎は主人公にあるまじき表情で言いました。

そこへ犬が手を上げました。


「でも…桃太郎さん!割に合わねっス!」

「おれら、命がけの戦いに参加したんですよ!?それなのに…きび団子ひとつって…なぁ!?」

「このこと…記事キジにしちゃおっかなぁ」

「君たちの言い分ももっともだなぁ。んじゃ、戦利品の半分を君たち3人で分ける!…で、どう?」

「「「 やった〜 」」」


荷台に金目のものを積めるだけ積めました。


「よし、みんな!村へ帰ろう!」


こうして、多くの戦利品と労働力を村にもたらした桃太郎は、村のみんなに胴上げをされて平和に暮らしましたとさ。

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