燈の子の森

@takaii

第1話

「多分いなくても誰も気づかないでしょ」

幼い頃からよく聞く言葉だった。小さいから意味なんて分からなくてヘラヘラ笑うことしかできてなかったけど自然と理解できるようになっていった。

この世界にはそれぞれ火、水、雷、森、他にもあるけど能力を持っている人が共存していて大抵能力が発症するのは物心ついた時から。私は人より発症が遅かった上に目に見える''能力が使えないから''能なし人間と言われている。

じゃあどんな能力か、それは人を癒す能力。傷を治すとかそんな大層なものではなくて、内面を癒す能力。この力をなんとか生かせないかと思い、今は学生でお手伝いという立場で祖母が経営している心療内科に度々お邪魔させてもらっている。

「話せてよかったわぁ」「なんかスッキリした気がする」こんな言葉をよく言って貰えることか多くてやっぱり私は森の能力を持ってるんだと自覚した。でも不思議なことに能力の存在を知らない人も多く変な目で見られたことがあった。母だけは信じてくれて沢山相談もした。

最初に能力が見えたのは母が亡くなって葬儀が行われた日だった。今でも鮮明に覚えていて祖母が男の人に向かって涙を流しながら怒っていた。その祖母の背中には炎が燃えていて一方で男の人は冷たくて白色の雪のようなものが見えた。その日から人を見る度その人の持っている能力が形として見えるようになり私自身も使えるようになっていった。

大学2年生の春、学校は地元から少し離れたところを選び通学は電車で毎日通っている。ゼミ選考も始まりだす時期でみんなメラメラしたものが見えていた。

親友のはる「ゼミどこ入るか決めた?」

「まだ決めれてなくて、、」そう言うと彼女は笑って一緒に説明会行こうと誘ってくれた。

ちなみにはるは私と同じ森の能力を持っていて気の合う友達。

何箇所か回って最終的に決めたのは心理を専門としている先生のゼミだった。

ゼミも一先ずだが決まり、今日は別の場所で初のバイトをする日になっている。嫌な予感がした、「本日からよろしくお願いします」


?「あれ?''脳なし''じゃん」

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