放屁(もう一発変換できるようになりました)の第一人者、沈黙のおじさんさんの、放屁短編連作集です。てか、この方、三作全て放屁小説でございますw
いやー、面白かったです。夢中で読んでしまいました。最後は「ブッ、ダ」で〆るとは、なんという荘厳かつ壮大な幕切れかと感心致しましたw
ストーリーは、ヒロインの河合咲嬢が病気で入院した際、次々と「放屁が許されない沈黙の世界」(例えば、コンサートホール、野球場のヒーローインタビュー、お見合いの会食など)に転生してしまい、都度、プスーっとやらかしてしまい、犯人探しとともに、人生のピンチに陥る、というものです。
毎度毎度「おならが禁忌」なシーンをしつらえて、しかもちゃんと皆を救済していく、んで最後はしょうもないダジャレで世に教訓を残す、という名人技を見せて下さいます。まるでイソップ寓話のようでございました。
咲嬢の前途に幸せとメタンガスが漂うことをお祈りしておりますw
これは間違いなくお勧めです。
是非どうぞ。
読むほどに深く没入することが出来ました。
途中で読むのを止めて作品から離れたのに、じわじわとまた読みたくなるクセになっている不思議。
屁……なんと奥深いのでしょう。
子供の時にケラケラ笑い、
恋人の前で羞恥のあまり真っ白になり、
夫婦になれば空気で微笑み合う……
同じ屁なのに、思えばこんなにシーンで受け止め方が変わるなんて。
長年この身と共にやってきたはずなのに、これを読むまで知らなかった、いや、分かっていたはずなのに見えていなかった。
……そんな、生理現象の新たな一面。
これまでに前例のない、どこか美しさすら感じられる文学と言える気がします。
読み終わったあとの満足感。
これはオススメしたい。
病室に響いた、たった一つの音。
誰かの腹が鳴ったのか、否、それは確かに放たれた音――屁だった。
たったそれだけの出来事が、人の誇りを揺るがせ、沈黙を壊し、心の奥底に隠した「許せなさ」を浮き彫りにしていく。
誰がしたのか。なぜしたのか。そして、なぜこれほどまでに「音」は人の尊厳を掻き乱すのか。
疑心、羞恥、見栄、自責、優越感。
四人の入院患者とその家族たちは、ただ「音」と向き合う中で、それぞれの「赦せなかった自分」と対峙していく。
だが、それは終わりではなかった。
静かに息を引き取った彼らは、次の世界で再び「音」と向き合うことになる――今度は、音楽という形で。
過去に揺らぎ、再び音を鳴らすそのとき、彼らは知る。
赦しとは、誰かを免罪することではない。
それは、誰かの弱さをそっと自分の中に置く力。
それこそが、生の続きを鳴らす「信仰」だった。
放たれた音が、沈黙を照らし、そして――再生を導く。
これは、屁から始まる、音と人間と赦しの物語。