第二章 間章1 帝国通貨とその価値

この章では、主人公が転移した異世界における「帝国通貨制度」について解説する。

本資料は、読者が世界観をより深く理解するための補足的な内容であり、

通貨単位や生活費の目安、そして現在の経済情勢を、

現実世界との対比を交えながら整理したものである。


通貨制度の概要

異世界における基本通貨単位は「コル(cor)」である。

現代日本円に換算した場合、1コルはおよそ十円相当と見なされる。

使用されている主な硬貨は以下の3種である。


•銅貨(セリム銅貨):1コルに相当。

主に駄菓子、屋台、日用品の購入など、小額取引に用いられる。

•銀貨(セリム銀貨):百コルに相当。

宿泊費や食事代など、一般的な生活費の支払いに使われる。

•金貨(セリム金貨):千コル(=十銀貨)に相当。

土地売買や貴族・富裕商人間の高額取引に使われる。

これらの通貨は、帝国の統治者である「聖セリム王家」の名の下に発行されており、

首都に設置された直轄の造幣工房で鋳造される。

偽造防止措置として、金貨および銀貨には魔力による防錆処理が施されており、

帝国圏内外において高い信頼性を確保している。


生活費の目安と市民生活

帝国内における日常生活費は、地域や災害・戦乱などの情勢により変動するが、

おおよその目安は以下の通りである。

• 粗末な食事(粥・干し野菜・硬パンなど):三〜五コル

• 標準的な食事(肉・パン・スープの定食):二十〜三十コル

• 格安の宿(雑魚寝部屋・共同寝具):十〜十五コル

• 上等な宿(個室・風呂付き):およそ百コル(=1銀貨)

• 市街地での馬車利用:十五〜二十五コル

これらの価格設定により、銀貨が「日常的な単位」、

銅貨が「庶民の生活に密着した最小単位」、

金貨が「高額取引用の単位」として使い分けられている。


高額品と魔法道具の価値

物語世界では、魔法道具や、

レイが持ち込んだ現代技術製品(いわゆる「異物」)は極めて高額で取引される。

たとえば、軍用多機能ツール《TACT―ギア》は、約三百コル。

すなわち銀貨三十枚(≒三万円相当)の価値があると評価された。

これらの高級品は、庶民には手の届かないものであり、

主に貴族、軍関係者、あるいは都市部の上層商人を対象とする流通経路を持つ。


経済情勢と通貨の信用

近年、帝国周辺で続発している戦争や魔獣災害の影響により、物価は上昇傾向にある。

特に都市部では食料品、宿泊費、移動手段といった生活必需品が高騰し、

庶民層の暮らしはますます厳しくなっている。

しかしながら、帝国の通貨はその信頼性の高さゆえに、

北方連邦や南方商連など周辺諸国でも取引に用いられており、

広域経済圏において一定の価値を維持している。

この信用は、「聖セリム王家」による中央集権的な統治と、

魔術的技術による偽造防止処理に裏打ちされたものである。


補足:読者向けの日本円換算感覚

日本人の感覚に置き換えると、

銅貨は十円玉に相当し、駄菓子や屋台の食事といった日常的な出費に使われる。


銀貨は千円札程度の感覚で、食費や宿泊費に使用される。


金貨は一万円札に相当し、高額契約や大規模な買い物で扱われる単位である。

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