その3 第一話 ポンを見てのツモ切りリーチ

ここまでのあらすじ


 高校を卒業してそれぞれの道に進んだミズサキと涼子。ミズサキはバイト先にそのまま就職。『麻雀こじま』の遅番メンバーとなる。一方、涼子は調理師専門学校へと進学した。しかし、涼子にとって調理師専門学校は厳しい環境であった。半年間頑張ったが辞めることを決意。

 かくして涼子も麻雀こじまのメンバーとして働くことになったのだった。



【登場人物紹介】


水崎真琴

みずさきまこと


雀荘『こじま』の遅番メンバー。

麻雀が好きなのと働きたくないのがリンクして雀荘遅番という職業につくことを選んだ現代に生きる遊び人。まだ未熟なため給料を守るのにヒーヒー言ってる新米社員。



小島涼子

こじまりょうこ


雀荘『こじま』の店主の娘でミズサキの親友。とても真面目な見た目と裏腹にかなりふざけた性格をしてる。

パズルには弱くてアタマは固いほうなので麻雀はあまり向いてない。柔軟性の化身のようなミズサキ惹かれるものがあるようだ。



小島悟

こじまさとる


雀荘『こじま』の店主で涼子の父。スキンヘッドで細目のいかにもなヤクザスタイルだが正真正銘のカタギでありとっても優しいお父さんである。



青澤正克

あおさわまさかつ


攻めてよし、守ってよしの万能雀士。ミズサキに興味を持ったようで最近ちょくちょくこじまに来店する。



カー子

かーこ


人語を理解する謎のカラス。 



その3

第一話 ポンを見てのツモ切りリーチ


 ある日のこと。

 涼子の母が珍しく本走していて涼子はそれを見て勉強していた。


客A「ポン」

 下家の客Aが上家の客Bの切った④筒をポンした。それを見た涼子の母は次のツモを素早くツモ切りして

「リーチ」

と宣言した。いきなりのツモ切りリーチだ。客Bは切る牌に困り

「ええいワンチャンスだ! 行けっ!」と②筒を捨てたがそれは通らない。

「ロン」


涼子母手牌

四伍六③④55677889


「一発でザンクの1枚です」


「お母さん、今のはなんで急にリーチしたの?」

「それはね。④筒のポンが入って②筒が使いにくいということが判明したからよ」

「ああ、ワンチャンスってそういうこと? ようするに、②筒を待ちにする上でのリャンメン待ちパターンには④筒が必要。だけど、いまポンされてるから④筒は残り1枚しか存在せず②筒の安全性は高いと見ていい。っていう意味だったのね。なるほどなるほど」

「あんた麻雀屋の娘なのに『ワンチャンス』も知らなかったってマジ?」

「今知ったしいいでしょ。『ワンチャンいけるかも』みたいに使われるあれって麻雀が語源だったってこと?」

「そうよ。あんたも正式にウチのメンバーとして登録することになったんだからワンチャンス知りませんなんてレベルでは駄目だからね。これからみっちり鍛えてくわよ」

「はいはい。わかってるって」


◆◇◆◇


 また別の日のこと

 早遅入れ替わりの時間で少し早く出勤したミズサキは既に卓に入っていた。

 その様子を涼子は遠目に眺める。


青澤「ポン」

 青澤が6索をポンした。するとその瞬間!

ミズサキ「リーチ」


 瞬く間のツモ切りリーチだ。

 涼子はミズサキもまた先日自分が習った『ポンが入ったからリーチ』を打ったんだろうなと思った。そして待ちを確認しに行く。

(6索の跨ぎが待ちなんでしょ? 本命は7索あたりかなー)

 なんて思って見てみるが……


ミズサキ手牌

二三三四四伍七八九③④11


ミズサキ②-⑤待ち。


(はて?)


 場を見てみるも強いていうなら2索が4枚飛びという情報くらいしかなく、ミズサキのこのリーチの理由がまるでわからなかった。

 なぜミズサキはこのタイミングでリーチをかけたのか。しかしそれには恐ろしい程深い読みがあったのである。

 








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麻雀女流名人伝【遅番女子のミズサキ】 彼方 @morikozue

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