転生したから悪魔を召喚して復讐する話

@ggg0710

懺悔

 1人目の母は、あまり記憶にない。

 だから、2人目の話をしよう。


 多忙な人だった。

 何かと一途になりがちなところはあったが、父と死別したことで、より顕著になったように感じる。


 僕を1人で育てなければならないという責任感はあっただろうが、それだけではない。心の拠り所を求めていたのだろう。


「私が稼がなければならない」という大義名分は、彼女を子離れさせる理由になり、僕が宿命に実直でいられる要因になった。


 どこまで遺伝を信じて良いのか分からないが、この生き方は間違いなく母と似ている。だからこそ、母には感謝しかない。


 ありがとう。

 ごめんなさい、になるのかな。


 素直に感謝を伝えるべきなのに、あの日をきっかけに、僕はずっと躊躇っている。

 自分の存在は変わらないのに、思い出した記憶が、自分を僕と呼んで良いのか迷ってしまうのだ。


 これが終わった時、どうなるのか自分でも分からない。生きる理由を失った時、僕は生きようと思えるのだろうか。

 少なくとも、僕は以前死んだことに対して納得はしている。


 まぁ、こんなこと考えていても仕方ない。

 再び動いた宿命は、もう止まらないから。


 そうか、この言葉が適切か。

 お母さん、「助かりました」。


 僕が母に伝えるべきは、これが全てだ。











 【転生したから悪魔を召喚して復讐する話】

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