第3話 ギャルのスマホに映った、意外な趣味の正体。
「おはよう」
朝の電車。
いつの間にか彼女とは、あいさつを交わせる関係になっていた。
目が合って、軽く会釈。
彼女は前よりも少し自然な笑顔を向けてくれるようになった気がする。
今日は珍しく、俺の隣の席が空いていた。
そして、彼女が迷わずそこに座ってきた。
「最近、この電車空いてるよね。ラッキーって思ってる」
「まぁ、タイミングですかね。てか…」
思わず口を滑らせる。
「いつも、スマホで何見てるんですか?」
すると彼女は、ちょっとニヤっと笑ってスマホの画面を向けてきた。
ピンクの背景に、きらきらしたアイコンが並ぶ画面。
…あれ?これ、女の子向けの…ソシャゲ?
「これ?乙女ゲー。推しがいてさ~、課金しすぎて今月ピンチ(笑)」
「えっ、ギャルなのに…乙女ゲー?」
「なんで“ギャルなのに”なんだよー。
むしろ推しがいるから頑張れるんだよ?課金も愛だよ?わかる?」
真面目に語り始める彼女を見て、思わず笑ってしまった。
「意外すぎる…」
「よく言われる。でもこういうギャップって良くない?」
彼女はそう言いながら、スマホを操作しつつ嬉しそうだった。
そこから彼女の“推しトーク”が止まらなくなった。
・夜しか笑わない孤高のヴァンパイアキャラ
・誕生日にはガチャに10連×5回を回すルール
・好きなセリフはスクショして、待ち受けにもしてる
ギャルのくせに…じゃない、ギャル“なのに”とかもうどうでもよくなって、
この人、めっちゃ好きなものに真っすぐだなって思った。
「っていうか、私のこういうの、どっかで見たことある?」
「え?ないけど?」
「じゃあいいや(笑)」
そう言って、彼女はニッと笑った。
なんか引っかかったけど、そのときは深く考えなかった。
ただひとつ分かったのは――
彼女はただのギャルじゃなくて、自分の世界をしっかり持ってるタイプだってこと。
興味は、ますます深まった。
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