第25話 戦力創造
ルトスは考えていた。
死霊兵により人類でも魔族でもない第三者が穴に潜んでいることは理解されただろう。しかしまだ両者の抱える敵意より脅威に思われてないのだろう。
「グラザルドを使った時のように外に出るか?
いや、もういつ敵が来るかわからないからダンジョン内に戦力を残しておきたい。」
様々な思考がルトスの脳内をめぐりやがて決断を下す。
「バルート、人類と魔族それぞれを侵攻する魔物を創る。その間奥に籠るから防衛は任せた。」
「かしこまりました、ルトス様。命に変えても敵を殲滅させましょう。」
「あぁ、頼んだ」
それから1週間ルトスは魔物の創造に時間を費やすのであった。
****
ルトスは魔物の創造の方向性を1人考えていた。創造可能な魔物を見ながら悩んでいた。
「今のダンジョンポイントが訳50万か。いっそのこと全て使おうか。」
そして魔物の創造が始まった。
「まずは人類。人類の弱みをつくか強みを発揮させないようにするかだな。」
ルトスは人類の弱み、基本的には個々の戦力が極めて低いこと、全ての民が戦えるわけでないこと、数が故に食糧が大量なことを思い浮かべ強みについても考える。
人類の強みは圧倒的な数、その母数から生まれるイレギュラーの戦力であった。
「イレギュラーは除外して何か大量の群れを創るか?蟲とかにしたら厄介だろう」
自分で考えた案だが自身で反対する。
蟲型は強いものも多いが知性がなく、共喰いをする種族がほとんどである。生み出した蟲全てに知性を持たせることもできたが、ダンジョンポイントのほとんどを消費することになりそうであった。
「ドラゴンとかをすぐ作れたら楽なんだがな。」
リッチなどが含まれる上位魔物のワンランク上となる最上位魔物にドラゴンの名があった。なんのカスタマイズをしない状態でさえ1000万ポイント必要であった。
「まぁ、ドラゴンの討伐なんてもう100年くらいされてないしな。前回は勇者様が倒したんだな」
100年ほど前に生まれ人類のものとは思えない強さだったと言われる勇者。人類側の脅威となる魔物を討伐したり、魔族の幹部を倒したり今でも様々な伝承が残っている。その死因も。
「なんか黒い瘴気みたいなのを纏った魔族と相討ちだったらしいが、いつかそう言うのにも対抗できる戦力を創らないとな」
ルトスは変な思考に陥ってる自分に笑いながら本題に戻るのであった。
そして一種類の魔物に目をつけた。
「こいつ俺の力で色んな能力を付与すればかなり厄介な性能になりそうだな」
そしてルトスは様々な変化をその魔物に与えていった。
—身体巨大化 一万
—分裂能力付与 二万
—分裂能力強化 五万
—再生能力強化 一万
—物理耐性強化 一万
—毒強化 一万
—念話付与 一万
—知性付与 二万
そして
—コア複製 十万
カスタマイズに24万ポイント費やした魔物が考案された。
「んー、その魔物にあった特製だとポイントが安くなるのか?なんか規則性がありそうだな」
そして
「お前にはアグという名前を授けよう」
ルトスがそういうと目の前に横に3m、高さ2.5mほどの大きさの濃い紫のスライムが現れた。
人類に対する魔物としてルトスが選んだのは
ポイズンスライムであった。
「アグ、部屋の隅で待っていてくれ。もう一体創造する。」
ルトスの脳内に«はーい»という声が響きスライムはポニョンポニョンと移動していった。
そしてルトスは魔族側の魔物を創り始めた。
人類を量とすると魔族は質である。魔族は一般人でさえ基本的に魔法を操り、年配の魔族となると兵士として働いてなかったとしても人類の宮殿魔法使いくらいの強さがある。
兵士となるとさらに強くなり、魔王ズキハに従う近衛、さらに上位の大罪と呼ばれる幹部たちは1人で人類の一軍を滅ぼすほどであった。
「弱みか、子供を殺すか?」
声に出してみたがルトスにその選択はまだできなかった。
弱者は守るもの、その考えが微かにまだルトスの中に残ってしまっていた。
「一般兵くらいを狙う強さにしてみよう。こっちは単体の強さでいいだろう」
ルトスが最初に目をつけたのはデュラハンであった。バルートによりアンデットの有用性はわかっており、魔族に聖魔法の使い手はいないから有効打だと考えたが、創造できなかった。
—デュラハン 最上位魔物 600万ポイント
「たっけーわ。グレードを下げるか」
上位魔物から魔物を選び出す。
ルトスが選んだのはリビングアーマーであった。この世界では戦いが頻繁に発生しているためリビングアーマーはよく発生している。
そのためルトスは知っていた、聖魔法がないと対処が難しいこと、そしてリビングアーマーの強さは鎧に依存することを。
ルトスはリビングアーマーの改造を始めた
リビングアーマー 八万
—鎧、武器ミスリル化 十万
—身体強化付与 二万
—念話付与 一万
—魔法耐性 三万
—武器変更ハルバード 二万
「お前はマルクだ」
ルトスがそう言うと2.5mほどのハルバードを持った2mほどの鎧が現れ、ルトスに跪いた。
«主様、ご命令を»
「この後説明する。先にアグとマルクを他のやつに紹介する。」
ルトスはバルートとグラザルドのいる方へと歩き出した。
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