第14話

 決まってみる夢がある、いつも知らない建物の前に私はいつの間にか立っていて、扉を開けようとして目が覚める。


 その夢をみるようになったのは確かこの学校に入学して間もない頃だった。知らない場所なのに夢の中で私は懐かしさを覚えてしまう。


 最初はもっと離れた場所から見ていたような気がするけれど、今では扉の前に立っていて、すぐに開けられそうな距離になっていた。


 いつも絶対に、開ける前に目が覚める。



 『人喰う家』そんな噂を見聞きする内に私は、それが夢の中の場所なんじゃないかと思うようになった。


 その話を私に聞かせてくれた、クラスメートのひとりが行方不明になって、それからどんどん同級生が姿を消すようになった。


 最近、夢の中で声が聞こえるようになった、あの場所に立ってる私を呼ぶ声、知っている声ばかり。


 時々、目が覚めると私の手足が黒く汚れている、水で洗い流せば落ちるんだけど。


 それはいつだったんだろう、夢であるはずだ、ともかくあの場所に立っていると背後で人の気配がした。


「危ないから入らない方がいいと思う」


 そんな声がして振り返ると誰もいなかった。


 翌日見た夢は確かにあの中へ踏み入れる内容だった、誰かが一緒にいたような気もする。


 けれど、私は目が覚めるとちゃんと部屋のベッドで眠っていた。嫌な予感ならしていた。

 


 あまり私にとって馴染みはなかったけれど同級生のひとりが姿をくらましたらしいと、学校の休み時間に誰かが噂しているのを偶然耳にした。



 私の帰宅する道と反対の通学路で夜、私をみたと誰かが言った、誓って私はそんな道を通ったことすらない。そもそも、夜に出歩くタイプではないという自負がある。



 そう誓って断言できるつもりだった。


 私をみた人物ことIさんは、私(もどき)に声を突然かけられたらしい。私(もどき)は「良かったら家に来ませんか?」、そう言ってIさんを連れて数分歩き止まった。


 その場所は、いわゆるマンションの廃墟だったらしい。Iさんは顔をまじまじとみて冗談ではなく真面目に私が「ここが我が家です」と、どうやら言っているらしいと気づき、適当な断り文句を言って逃げ帰ったらしい。


 もちろんそんな時刻に私が出歩くわけはないし、道が正反対であること、その時間には私はとうに寝入っていたのだからあり得るわけなどない。


 この話自体は他人の空似、見間違いとしてうやむやになったけれど。


 それ以降、似たような話を聞くことが増えた。当事者として私に出会でくわした、話しかけられたというものだけなら、いくらかましだったと思う。


 中には誰かを私が連れだってどこかに向かって歩くのをみた、なんてものがなければ。すべて夜で私の帰路とは違うものばかり。


 夢の中では相変わらずあの場所に立ってる。



 友だちのKちゃんが先日、行方不明になった、通学路が反対のあの辺りの子だ。



 その日も夢をみていた、と思う。夢の中で誰かと話した記憶がある、それが誰だったのかまでは覚えていない。


 朝起きると部屋の机に受け取った覚えのない彼女の髪飾りが転がっていた。なんだか怖くて机の引き出しの中に私は隠してしまった。

 

 引き出しの中には覚えのない物ばかりがいくつも詰め込まれていた。

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