第0章 第19話
「話してくれてありがとう、雪菜ちゃん」
柳さんはそう言った。
「いえ・・・私の話した事が参考になるか分からないですが・・・」
私は柳さんにそう言った。
「ううん、参考になったよ」
柳さんはそう答えた。
「雪菜、お前は暫く病院に入院する事になる。お前は他の被害者と違うからな」
兄さんは私にそう言った。
「それ位、私にも分かるって」
私はそう答えた。
「なら、俺は帰るな」
兄さんはそう言って、病室を出て行った。
「俺も帰るね、雪菜ちゃん。ゆっくり休んで」
柳さんも病室を出る前に「あ・・・あの・・・少し良いですか?」
私は柳さんを呼び止めた。
「俺に何か用かな?雪菜ちゃん」
柳さんは嫌な顔をせずに優しい口調で私に聞いた。
「はい。・・・あの・・・私が倒れてた場所に綺礼な紙袋があったの・・・ご存じないですか?」
私は柳さんにそう聞いた。
「あ・・・もしかして、これのこと?」
柳さんは何か思い当たる節がある様に自分の背後から少し汚れた紙袋を取り出した。
「はい」
私はそう答えた。
「あの・・・それ、兄さんに渡して欲しいんです」
私は柳さんにそう言った。
「俺が渡して良いの?雪菜ちゃんから渡してあげれば良いのに」
柳さんはその紙袋の意味を理解しているらしい。
「いえ・・・私が渡すと素直に受け取らないと思いますし・・・兄さんのあの態度で、目に見えてますから」
私はそう答えた。
「確かに・・・。君達兄妹は案外素直じゃないね・・・。
それじゃあ、これは俺から渡しておくね。
・・・それじゃあ、今度こそ、おやすみ、雪菜ちゃん」
柳さんはそう言い、私の病室を後にした。
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