第5話 2日目③掃除・食事

地獄すぎた、パッと見渡すと物が閉まってないだけと思って片付けを始めたがお菓子のゴミとかも隠れて落ちていた、なんなら隠すようにゴミが散らかっている所もあった、あの人も掃除は苦手なのか。


「はぁ〜」


掃除を終えて時計を見ると13時を回っていた。


「そろそろ、行くか」


さすがに貸してもらった長袖長ズボンのパジャマでは出かけられないので乾いた制服を着るしかないか。

この辺りのスーパーは詳しくなかったから志保さんに聞いておいて良かったな、迷うか心配だったけど無事にたどり着けた、今日の夜ご飯は豚バラ大根と味噌汁、サラダにしようかな、量は多くない方が良いだろうし栄養もバランスはまぁまぁ良いと思うし。

買い出しを終えた後の帰り道、高校生の下校時間と被っていたのもあってうちの生徒とともすれ違ったりした、正直知り合いと会ったら気まずいから遠回りして帰った、少し道迷ったし普通に真っ直ぐ帰れば良かった。


「よいしょ」


志保さんから冷蔵庫は好きに使っていいと言ってくれたがあんまり好きに使いすぎても申し訳ないので最低限の食材しか買わなかったけど正解だった。


「まじ、か」


予想外だった、掃除の対象は部屋だけじゃなく冷蔵庫もだった、調味料はばらばらだし賞味期限が切れた牛乳とかもあった。


「はぁ、やっと終わった...」


気づいたら時計の針が4時半を指していた、さすがに作らないとまずいので調理に取り掛かる、料理は物心ついた時から自分で作っていたのである程度はできる、レパートリーは少ないのが難点だな、やっぱりスマホ捨てたのはやりすぎだったか...


「ただいまぁ〜、いい匂いするな〜」


「おかえりなさい志保さん、もう少しでご飯出来ますけど先にお風呂にします?」


「じゃあ、莉央くん♡」


ギュッ


背中に柔らかい感触と温もりに包まれる、ん〜これは漫画とかで言うところのけしからんというやつだな


「志保さん危ないです」


「今日は頑張ったからいいでしょ〜?♡」


「はぁ、わかりました、ご飯とか色々済ませてからにしましょう、手洗ってきてください」


志保さんのバックハグから開放されると不満げな顔でこちらを見つめながら世界一やる気のない「は〜い」を貰いました、志保さんが戻って来た時には皿に盛り付けるのも終えると


「並べるの手伝うよ莉央くん」


「ありがとうございます」


志保さんがお皿を持って台所からリビングの机に行くと「え!?」という声が聞こえた、そういえば掃除したの言ってなかったな。


「あ、ごめんなさい余計な事だったかもしれないんですけどお部屋と冷蔵庫掃除しちゃいました。」


「え?全然そんなことないよ!わ、私もいつかはやろうと思ってたし?いつも汚いわけじゃないからね?莉央くん?」


「あ、はい」


多分この感じ嘘だ、まだ2日しか経ってないけどすでに志保さんの嘘が見抜けるようになるとは自分でも恐ろしい、いやこの人の嘘が下手なだけか


「わざわざごめんねぇ莉央くん〜♡ほんとになんて気の利く彼氏なの〜♡」


また抱きついて来るところを避けて


「ご飯冷めますよ」


「む〜後でいっぱい甘やかしてね」


「はい、できる範囲で」


お互い席に着き


「「いただきます」」


志保さんが1口食べると「おいしい〜♡私より料理上手♡私の彼氏天才〜♡」といっぱい褒めてくれた、料理を作って褒められたのは始めてただったから正直かなり嬉しかった、この人と居ると自分が肯定されてる感じがして今生きてるって感じられる。

まだ会って2日だけどこの人と会えて良かったそんなことを考えるてると


「莉央くん相談があって...嫌だったらいいんだけど私の大学の友達が君に会いたいって言うの」


「また急な話ですね」


「いきなり彼氏できて経緯とか色々話したら会ってみたいって」


「大丈夫ですよ」


「い、いいの?無理してない?」


「志保さんのお友達なら大丈夫です」


「うん!ほんとにいい子だから安心して欲しい、一応今週の日曜に家に来るけど大丈夫かな?」


「わかりました」


まぁ志保さんのお友達なら大丈夫だとは思うけどそりゃ怪しむよな、いきなり彼氏出来たと思ったら高校生で居候してるなんて知ったら誰でも怪しむ、会ったら何かしら言われるだろうし覚悟はしておこう。

その後は志保さんと世間話をしながら食事と洗い物を済ませた、できる限り俺の身内話とかは避けてくれてるみたいで少し申し訳なかった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る