自殺から救ってくれたお姉さんは少しメンヘラかもしれません

芽衣

第1話 出会い

「はい♡あーん♡」


「あ、あの自分で食べます、、、」


「莉央くんは甘えたがりでしょ?いいからいいから♡ほらあーん♡」


なんでこんな事になった、、、一応この前まで自殺しようとしてたんだけど気づいたら美人な女性に「あーん♡」されている。こんなのアニメとかラノベでしか見たことない状況に何とも言えない感情を抱いていると。


「ねぇ、莉央くん♡ご飯食べたらお風呂入ろっか♡」


「あの、1人で入ります」


「え〜やだやだ!莉央くんと入るの!」


この人本当に年上なのか?言動だけ見たら妹にしか見えないぞ、もしかして俺はラノベとアニメの見すぎで夢を見てるのでは?と目を擦るが目の前にはやだやだと駄々をこねている女性が1人。

うん、これ現実だ間違いない。


ラノベならこの展開間違いなくラブラブ生活が待っているんだろうがこの時の俺はまさかあんな事になるとは知る由もなかった。


ごめん言ってみたかっただけ。


遡ること数日前


「はぁ」


屋上の夜景を見つめながらため息をつく、今から死ぬんだ、正直今は何も考えたくない、早く楽になりたいそれだけだった。

後一歩足を前に出せば楽になれる、怖くないと言えば嘘になる、だけどそれで楽になれるならと飛び降りようとした時


「待って!」


振り返るとそこには息切れした女性が立っていた。


「なんですか?」


「何って飛び降りようとしてるよね?一旦落ち着こう?こっちに来て?」


「嫌です、落ち着いて考えた結果飛び降りようとしてるんです邪魔しないでください︎」


かなり強めに言い返した、あっちもそこまでして止める義理はないだろうしこれで引いてくれるだろう。そんなことを考えていると


「じゃあ、、、、ください」


「なんて言いました?」


「だから、、、、ださい」


「はっきり言ってください」


「だからっ!死ぬくらいだったら!私の!彼氏に!なってください!」


「...」


は?何を言ってるんだこの人、頭がおかしいのか?ラノベとかでしか見ないようなセリフなのは置いといてなんでいきなり告白してくるんだ?そこは無理やりにでも説得しに来る場面じゃなかったのか?

いや、聞き間違いか?けどなんか聞き返しすぎてキレられたらめんどくさいな、適当にあしらって帰ってもらおう。


「告白は嬉しいですけどあなた美人ですしもっといい人いると思います、だから」


「え、私の事美人だって?嬉しい〜!じゃあもう彼氏になってくれるって事だよね!」


「え、いや、だから」


「せっかく付き合ったんだしご飯デートする?けど時間も時間だしなぁ、、じゃあ私のお家に来てよ!」


やばいこの人完全にやばい人だ。人の話を丸で聞いてない、これアニメとラノベなら王道展開だが自分が同じ状況になってみると普通に怖い、というかなんで美人な人が俺に告白するんだ?初対面なのに自殺止めるためにここまでするものなのか?

そんなことを考えていると彼女が手を握ってきて


「じゃあ私の家いこっか!」


勢いに圧倒されるまま名前も知らぬ彼女(自称)の家に行くことになった。









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