分からず屋のお嬢様
灰雪あられ
第1話 違うものは違いますので
田舎も田舎のとあるど田舎にお偉いさんの息子がお忍びでやってきた。
なんとこのマヌケはそのど田舎の薬屋の娘に惚れ込みもうアプローチ。
なんと、まぁ残念なことにその娘はアホだった。
マヌケとアホは恋に落ち束の間を仲睦まじく過ごした。
しかしながらこれでもマヌケはお偉いさんの長男。
次期当主がど田舎の娘と添い遂げることなどありえません。
当然のことですが、マヌケは帰っていきました。
けれど、もうそのときにはアホのお腹に新たな命が宿っていたのです。
アホは両親に怒られ、しかし支えられながらこどもを必死に育てました。
月日が経ち、美しく育ったアホの娘の元にマヌケからの使者がやってきました。
なんと、マヌケに後継が生まれないため一族の一員になってほしいとのことだった。
「こういうことであってます?それで、そのマヌケが私の父親だと、そう言いたいんですか?」
「先ほどから話を聞いていれば…」
「あっ忘れてもらって結構です。お帰りください」
「なっ…」
「私の両親がそんな笑あははっほんっともう…冗談きついですよ。人違いです。じゃあ、これで。さよ〜なら〜」
「ちょっと、あなたっ押さないでくださいっ!ちょっやめっ、無礼者っ!」
見事、使者を店から追い出したゆかりだった。
しかし、使者も負けてはいない。
「そうですか…。そういう態度ですか。ええ、わかりました。わかりましたとも!」
使者はポケットからマッチを取り出した。
「今すぐこの扉を開け謝罪なさい!さもなければこの大事な店、燃やしますよ⁈」
使者の言葉に素早く反応したゆかり。
「はーい、すみませんでした〜」
と言いながら扉を蹴り開けた。
ガッ
扉が倒れ勢いよく使者の頭へぶつかる。
「あれ?壊れた。建て付け悪いみたいなんで、今日は閉店しますね。さよ〜なら〜」
「…」
「…?」
「…」
「…やっちったぁ、動かない」
扉の真ん前にいた可哀想な使者は、あまりの衝撃に気絶した。
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