よりよい社会のための検討会議
平原 富
第1話 K保護作戦理事会レク
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(日 時) 平成21年8月4日13時00分~13時45分
(場 所) 会議室A
(出席者) 小原理事長、橋本理事、近藤理事、古市理事、鹿糠統括、新沼戦術部長、黄川田法務・渉外部長、稲垣情報部長、大槻研究・開発部長、事務局秋篠
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<議事内容>
〇事務局
事務局の秋篠です。定刻となりましたので、ただいまからK案件に関する理事会レクを始めさせていただきます。
それでは統括の鹿糠様、議事の進行のほうをお願いします。
〇鹿糠統括
ありがとうございます。
理事の皆様におかれましてはお忙しい中、またお暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。
本日の議題はK案件への対応についてであります。K案件への取り組みに関して理事の皆様にレク、ご説明をさせていただければというのが本会議の趣旨でございます。
お手元の資料に沿って担当者から状況や対策について説明をしてまいります。説明の後にご発言のお時間を取りますので、理事の皆様におかれましては、ご意見やご質問がございましたらご発言いただきたいと思います。
なお、会議に先立ち注意点がございます。Kについてはその外見的特徴に基づく一般的な呼称があり、御存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、類似の障害をお持ちの方への配慮の観点から本件ではKという呼称で統一させていただければと思います。ご配慮のほどお願い申し上げます。
それではまず、情報部からKに関する基本情報の説明をお願いします。
〇稲垣情報部長
早速ですが、お手元の資料の2Pをご覧ください。
まず、Kの基本的な情報でございます。Kの外見的特徴としては身長175cmから180cm程度、見た目は30代から40代前半の女性、両口角から左右の耳元にかけての裂傷、この裂傷を隠すためのマスクの着用などが挙げられます。なお、女性と申しましたが、あくまで容貌からの推測であり、厳密には実際の性別は不明です。
昭和50年代半ばから、Kはホームレスなど路上で遭遇した人間に自身の美醜を尋ね、否定的な回答をした者にハサミで傷害を加え、又は殺害するという犯行を繰り返していました。なお、美醜について肯定的な回答をした場合、マスクを外し、口元を露出した上で再度自身の美醜を尋ね、否定的な回答をした者に対してやはり同様の犯行に及んでいたということでございます。
また、Kはおよそ通常では考えられないといいますか、超人的ともいえる腕力や走力、戦闘能力を有しており、記録によると当時逮捕を試みた警官6名のうち4名が死亡、2名が重傷を負っています。なお、現場状況並びに生存者及び目撃者の供述から、当局は財団案件と判断し、以降は全国的な警ら活動及び小中高生の集団下校の呼びかけに移行し、捜査活動を中止しました。当局は今なおKの存在や被害状況を非公表としておりますが、事件当時の情報統制が不完全だったため、Kに関して一部情報が民間に広く流布している状況でございます。
続いて3Pをご覧ください。こちらに記載のとおり、Kは最初に岐阜県で目撃された後、全国を転々としましたが、遅くとも平成初期には韓国に逃れました。その後、東アジアから中央アジアの広い地域で潜伏生活を送っていたということでございますが、この度、何らかの手段で我が国に密入国し、現在、●●県●●町内の山間部集落にある廃屋に潜伏しています。当部で24時間監視を継続していますが、今のところ新たな犯行は確認していないというところでございます。
〇鹿糠統括
ただ今の情報部からの説明に対してご質問やご意見があればお願いいたします。
〇小原理事長
ご説明ありがとうございました。Kの見た目は30代半ばということですけれども、昭和50年代からKの外見には変化がないということでしょうか。約30年経過していますが。
〇稲垣情報部長
昭和50年代の写真や映像資料がないため厳密な比較ができず、また、顔面についてはマスク上からの判断にはなってしまいますが、最新の写真や映像資料によれば外見に特段変化はないものと判断しております。
〇小原理事長
ありがとうございます。身体能力の変化はいかがでしょうか。
〇稲垣情報部長
身体能力についても少なくとも大きな劣化はないものと考えております。
海外当局から提供された映像資料には、跳躍で建物2階に上がる、拳銃で体を撃たれてもひるまない、両手に持った刃渡り20cm程度のハサミで相手の四肢を切断する、ハサミを相手に刺して10m以上投げ飛ばすなどの行動が記録されておりました。
〇小原理事長
ご説明ありがとうございます。
〇近藤理事
当然検査をしないとわからないと思いますが、Kは何故そのような身体能力を持っているのでしょうか。
〇稲垣情報部長
Kの身体構造については確たることは何も判明していないというのが現状でございます。ミオスタチン関連筋肉肥大類似の特異体質という説はありますが、あくまで仮説レベルです。
〇近藤理事
わかりました。
〇橋本理事
Kは海外に潜伏していたとのことですが、第三者が日本への密入国を手引きしたり協力した可能性はあるでしょうか。端的に言ってしまうと、他国が我が国へ嫌がらせをしているのではないかとも思うのですが。
〇稲垣情報部長
結論としては、第三者の介入があった可能性はないとは断言できないのですが、今のところその可能性は低く、K独自の行動である可能性が高いものと考えております。といいますのも、我が国の分析だけでなく各国の分析によってもKが他者とコミュニケーションを取ることは現状極めて困難又は稀と見られているところでございます。実際に、当部で監視中にKが他者と接触した様子はございません。
〇橋本理事
なるほど。ご説明ありがとうございます。
〇古市理事
ちょっと気になったのですが、Kは食べ物はどうしているのでしょうか。
〇稲垣情報部長
食事の場面を現認できたわけではないのですが、当部としては、Kは野生動物を捕食しているものと推定しているところでございます。Kはほぼ毎日、夜間に近隣の山中に入り、数時間ほどで戻ってくるという行動を繰り返しているところ、戻ってくる際にポリタンクと野鳥やキツネ、ウサギなどの野生動物を携行して廃墟に持ち込む姿を確認できております。廃墟内の様子は現認できていませんが、おそらく廃墟内で野生動物を捕食しているものと考えております。また、鹿の脚部のような物を携行する姿も確認できておりますので、狩りの対象にはシカやイノシシなどの比較的大きな動物も含まれている可能性や、山中でそのまま捕食している可能性もあるのではないかと推測しているところでございます。
〇古市理事
それは火を通さずに生食で食べているということでしょうか。寄生虫の問題などがあると思いますが。
〇稲垣情報部長
はい、廃墟からは煙や光が観測されていないため、生食の可能性が高いのではないかと考えておりますが、干物にしたり調味料を用いている可能性もございます。
〇古市理事
少し作戦から遠い話となってしまいました。申し訳ございません。いずれにせよKも飲まず食わずではいられないというわけですね。わかりました。
〇近藤理事
Kの夜間の行動についてのお話をされていましたが、日中のKの行動にパターンのようなものはあるのでしょうか。
〇稲垣情報部長
はい、当部による監視を始めてから、Kが日中に屋外に出たことはございません。廃墟内部の様子は確認できないため、Kが覚醒しながら静かに過ごしているのか、又は眠っているのかは定かではないのですが、Kは基本的に日中は廃墟に滞在しております。ただし、昭和50年代にはKを日中に目撃したという事例も多数あり、場合によっては日中の屋外活動もありうると思います。
〇近藤理事
ありがとうございます。すみません、もう一点だけよろしいでしょうか。このような郊外といいますか、比較的田舎のような地域ですと、Kの24時間監視については近隣住民から不審に思われたりはしないでしょうか。
〇稲垣情報部長
今のところ住民からの苦情や通報などはありません。近隣道路の改良工事のための資材置場という名目で町から土地を借り、そこに監視小屋としてプレハブを設置し、併せて重機なども駐車しています。このようなカモフラージュが奏功しているものと考えております。
〇近藤理事
わかりました。ありがとうございます。
〇鹿糠統括
Kの基本情報に関して他にご意見やご質問はないでしょうか。
ありがとうございます。それでは次に保護作戦の内容についてです。戦術部から説明をお願いします。
〇新沼戦術部長
戦術部から本作戦を説明をさせていただきます。お手元の資料の4Pから7Pをご覧ください。本作戦の概要は、まず、Kが夜間に食料調達のため山に向かったタイミングでKを挑発し、山道のトンネル内までKを誘導した上、トンネル出口をコンクリート製防壁及び防ガス幕で封鎖します。そして、追跡チームがトンネル中程でK後方を車両及び防ガス幕で封鎖した後、隔離区画内で無力化ガスを散布し、無力化したKに専用拘束具を装着します。拘束後は専用コンテナに収容し、トラック、船舶及びヘリで離島の隔離施設まで輸送します。
前線投入人員は25名を予定しており、一部の後方人員は財団系被害者の会から40名を登用する予定です。また、必要装備のうち重火器及び車両についてはイラクルート、無力化ガスのKOLOKOL-1については東欧ルートからそれぞれ装備・開発部門が調達済です。
〇鹿糠統括
ただ今の戦術部からの説明に対してご質問やご意見があればお願いいたします。
〇橋本理事
Kが拠点を移動してしまう可能性もあると思うのですが、作戦実行時期はいつ頃を想定しているでしょうか。
〇新沼戦術部長
ご指摘のとおり、Kが移動するおそれは本作戦中でも最大の不確定要素の一つです。今のところ、可能であれば9月中、遅くとも10月中の実行を想定しています。
〇橋本理事
できる限り早期に実行したいところですね。よろしくお願いいたします。
〇小原理事長
周辺集落の人口はどれくらいでしょうか。
〇新沼戦術部長
廃墟から半径1キロ圏内に居住する住民は約70名です。
〇小原理事長
なるほど。本作戦が住民に目撃されたり、住民に被害が出てしまうおそれはないでしょうか。
〇新沼戦術部長
近隣住民を作戦行動から遠ざけるため、Kが集落から500m以上離れた時点でKの挑発を開始し、トンネルまで誘導します。また、作戦中、トンネルの両側について道路修繕工事を名目とした交通規制も実施します。
〇黄川田法務・渉外部長
交通規制についての補足ですが、既に当局との調整は完了しております。当局側としてもできる限り早急にK問題を処理したいとのことで、必要な交通規制をしていただけることになりました。
〇小原理事長
これまで当局が非協力的な場合もありましたが、今回は当局が協力的なパターンということですね。
〇黄川田法務・渉外部長
はい、Kの存在が明らかになると当局による過去の消極的対応も露見するおそれがあるということで、秘密裏、かつ、早急に処理してほしいという事情があるようです。
〇小原理事長
わかりました。
〇古市理事
先ほどのKが拠点を移動するかもしれないという話にも似ているのですが、本作戦でKが挑発に乗らず、逃亡してしまうおそれもあると思います。Kの挑発、誘導は具体的にはどのように行うのでしょうか。
〇新沼戦術部長
Kの説明で少し触れましたが、Kは自身の美醜について否定的な意見を述べられることを極度に嫌う傾向があります。現場チームがKの外見を非難するといいますか、Kの顔面の容貌に関する否定的な発言をすることでKを挑発・誘導することを計画しています。単純ですが過去の国内事例や最近の海外事例も参考にしており、かなり有効と考えております。
〇古市理事
想像すると滑稽ですが、確かにKが最も食いつく方法のように思います。わかりました。
〇小原理事長
資料にある作戦場所のトンネル写真を見るとかなり古いトンネルのように見受けられますが、作られたのは、昭和19年、戦前ですか。作戦中にトンネルが崩落するリスクはないでしょうか。
〇新沼戦術部長
結論から申しますと、銃火器の使用やKの攻撃により小規模崩落の可能性はございます。ただし、構造計算によると作戦に支障をきたすような大規模崩落の可能性は低いものと考えております。
なお、小規模崩落があった場合は作戦終了後に経年劣化による自然崩落と見えるよう工作をします。
〇黄川田法務・渉外部長
補足でございますが、崩落の可能性や崩落時の対応についても当局との共有及び調整が完了しています。
〇小原理事長
そうですね。現実的なリスクとして想定した方がいいですね。
〇近藤理事
私からも一点よろしいでしょうか。資料には本作戦に使用する車両はイラクルートの米軍払い下げのハンヴィーとありますが、軍用車両とはいえKの攻撃には耐えられるのでしょうか。
〇新沼戦術部長
本作戦においてはKが山道をショートカットして作戦車両を攻撃したり、岩石や倒木などを投擲してくる可能性を想定しております。通常のハンヴィーではこれらの攻撃に耐えられない可能性もあるため研究・開発部で作戦車両を強化加工中です。
〇近藤理事
わかりました。できる限り人員の安全を図っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
〇橋本理事
資料によるとタングステン製の拘束具でKを拘束するとのことですが、拘束は手作業ですよね。Kに接近するのでかなり危険な作業だと思いますが、人員の安全対策は十分でしょうか。
〇新沼戦術部長
ご指摘のとおりKの拘束作業は本作戦で最も危険な行程です。結論から申しますと、リスクを0にはできないものの、できる限り小さくするよう努めている、という状況です。まず、簡素な手順で拘束できる器具一式を作成しており、これによりスムーズな拘束が可能となります。また、この場合は作戦失敗ともいえますが、ガスでKを無力化できない場合は作戦方針を保護から処分に変更します。人員の安全に鑑みて、この取り扱いについてはご容赦いただければと存じます。
〇橋本理事
ありがとうございます。現実的な準備と方針だと思います。
〇古市理事
Kの輸送方法については船とヘリを使用するとのことですが、飛行機を使わないのでしょうか。資料によるとこの離島には港がありませんが、飛行場がありますよね。わざわざ近海からヘリで輸送するというのは二度手間ではないでしょうか。
〇新沼戦術部長
Kの輸送方法については輸送中のリスク管理の観点から決定いたしました。当初は飛行機での輸送も検討しましたが、何らかの原因によりKが拘束から脱した場合、飛行機に登場する人員だけでは対応困難な可能性が高く、結果として甚大な民間被害が生ずるおそれもあります。一方、船舶であれば船団の人員による対応も期待でき、最悪の場合爆破や自沈、つまりKの処分ですね。処分も可能ということで船舶輸送に決定いたしました。
〇古市理事
各種リスクを比較衡量したのですね。納得できました。
〇近藤理事
そもそも論になってしまうのですが、本作戦はあくまでKの保護を目的としています。今お話に出たように現場の状況次第では保護どころではなくなってしまうのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
〇新沼戦術部長
戦術チームとしてはKの保護を第一次的な目標に進めていきますが、Kの戦闘能力や薬物耐性が想定を著しく超える場合など、状況次第では、作戦方針を保護から処理に切り替えざるを得ない可能性を想定しています。なお、本作戦に用いる無力化ガスも本来は生命にかかわる兵器であり、Kの安全を保証できませんが、代替手段もないため使用している次第です。
〇黄川田法務・渉外部長
ご質問の件については資料に記載していない背景事情もございますので私からも補足いたします。今回の作戦がKの保護を目的とするのは、次期首相の意向に配慮したものです。現在の政局及びマスメディアの報道姿勢などを踏まえると、本作戦遂行時には政権交代がなされていることがほぼ確実です。政権交代後に、当法人の予算、つまり今後の作戦に悪影響が出ないよう可能な限り次期首相の意向を忖度しなければならないという事情は各位ご理解いただければと存じます。
〇近藤理事
ありがとうございます。新首相に過度に配慮する必要はないと思いますが、敢えて事を荒立てる必要もないですね。ですがそのような事情があるとしても原則どおり、人員や市民の安全を優先する形で進めていただきたいと思います。
〇小原理事長
ちなみに現与党との関係では本作戦はどのような位置付けでしょうか。
〇黄川田法務・渉外部長
現与党の観点からも補足しますと、世間に一部情報が流出しているKへの対応は現与党の長年の懸案事項でした。また、Kの被害は我が国だけでなく、東アジアから中央アジアまでの広い地域において発生しています。最近ではインド・バンガロールでの連続爆破事件とベトナム・ホーチミンでのホテル爆破事故の原因にKが関わっていることがわかっており、インドの首相とベトナムの書記長からは来日時に現与党に対してクレームのようなものがあったとのことです。現与党は保護にはこだわっていないものの、K問題の早期解決自体は現与党との関係でも重要です。
〇小原理事長
わかりました。ありがとうございます。
〇橋本理事
他国からクレームのようなものがあったとのことですが、本作戦については説明したのでしょうか。もししたのであれば反応はあったでしょうか。
〇新沼戦術部長
先ほどのクレームのタイミングではまだそもそもKの入国を把握していないタイミングだったり、政府側にまだ本作戦を説明していないタイミングでしたので、来日した高官に本作戦の内容は伝わっておりません。ただ、それとは別に、インドのK対応担当者からヒアリングを行いました。担当者からは様々な貴重なご意見を頂きましたが、全体的には「Kの人権に配慮した作戦というのは非現実的ではないか。」との趣旨のご意見でした。
〇橋本理事
それはまあ、いたしかたないと思います。ありがとうございます。
〇稲垣情報部長
政権交代についてですが当チームの分析もお伝えしておきます。野党第一党の政権運営能力に鑑みると、政権交代後、政権を維持できるのはよくて数年であり、現与党は比較的早期に政権を奪還する可能性が高いです。
〇鹿糠統括
Kと同じくらい何があるかわからないですから政府の状況も注視していただきたいと思います。
Kの拘束完了後の話になりますが、K隔離施設についても簡単にご説明をよろしいでしょうか。
〇大槻研究・開発部長
研究・開発部の大槻です。本施設は研究・開発チームで使用・管理しておりますので、私から説明いたします。本施設は昭和45年に自衛隊が太平洋の離島に建設した地下収容所です。K隔離に十分な耐久性があり、メンテナンスも行き届いていることについては当部で確認しており、国内では最も安全な隔離施設だと考えております。
〇橋本理事
似たような収容事例もありましたよね。資料にも「RK」として少し言及がありますが。
〇大槻研究・開発部長
はい、昭和47年に当財団が捕獲したRKはKと同等かそれ以上の身体能力を有しておりますが、本施設は37年間RKを何らの事故なく収容し続けているという実績もあります。
〇古市理事
ちなみに施設収容後のKの取扱いはどのような予定でしょうか。
〇大槻研究・開発部長
今のところ、Kは精神疾患を有していると仮定し、薬物及びカウンセリングを用いた精神科治療を予定しています。長期的には暴力傾向を抑制した上、一定のコミュニケーションを取れるようになることが目標です。もし意思疎通ができるようになればKのルーツや身体能力の要因を解明できるかもしれません。
〇小原理事長
一定のコミュニケーションを取れるようになることが目標とのことですが、Kの治療についてはどれくらいの期間を想定しているでしょうか。資料にはRKも治療目的収容と記載されていますが、既に37年間収容していますよね。備考欄に昭和50年に意志疎通を断念したともあります。
〇大槻研究・開発部長
具体的な想定期間はなく、むしろ数十年単位、最悪の場合半永久的に治療や収監を継続する可能性も想定しています。ただ、Kは人間社会に潜伏し、ある程度人間社会に溶け込んでいたという点を考慮しますと、RKに比べるとコミュニケーションを取れるようになる可能性が高いと考えています。
〇小原理事長
正直、可能性はどこまであるのかなとは思いますが、確かにRKよりは幾分かは可能性があるかもしれません。
〇鹿糠統括
その他のご質問やご意見などはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、理事の皆様におかれましては、本作戦の進行について現時点で異議などは特段ないということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
みなさん、本日はお忙しいところありがとうございました。
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<付記1:作戦経過>
(平成21年10月13日)
23:10 囮ハンヴィーが山道を移動中のKを挑発。誘導開始。
23:14 Kがハサミの投擲を開始。囮ハンヴィー後部に軽微な破損。
23:19 囮ハンヴィーと追走ハンヴィー(ブローニングM2重機関銃装備)4台で山間部のトンネル(全長約300m)内にKを誘導
23:20 囮ハンヴィーがトンネルの西側から脱出するのと同時に西側出口にコンクリート製防壁を展開し、防壁の上から防ガス幕を設置。
23:21 トンネルを引き返そうとしたKを追走ハンヴィー及び追撃班10名(M4カービン、ボディアーマー及びガスマスク等を装備)が威嚇射撃をしつつ押し返す。途中、Kの威嚇行為により西側出口から約80メートルのトンネルの一部が崩落したため、さらなるトンネル破壊を防ぐためKを射撃。5.56mm弾計6発がKの右足及び胴体に命中。
23:35 追走ハンヴィー後方に防ガス幕設置完了。隔離空間内にKOLOKOL-1を散布開始。
23:53 Kの無力化に成功。
23:59 Kに拘束具を装着。
(平成21年10月14日)
00:16 Kを専用コンテナに収容し、トラック輸送開始。以降30分おきにカルフェンタニルを投与。
01:37 Kが何かを呟き始めるも内容聞き取れず。以降同様。
02:19 トンネル内の除染完了。
02:42 横須賀基地到着。
02:50 輸送船出港。
07:07 通行人がトンネルの崩落を発見、通報。
23:20 隔離施設が所在する離島近海に到着。ヘリによるコンテナ輸送開始。
(平成21年10月15日)
00:10 Kを隔離施設に収容。
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<付記2:その他>
・トンネル崩落について地元メディアで報道されたものの、大きな混乱なし。
・公開にあたり一部情報をマスキングした。
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