第8話 ダストボックスに捨てた夢をへの応援コメント
火の玉ストレートの青春物語でした。主人公の生々しい感情と、彼女が置かれた閉塞的な環境が真に迫って描かれており、第6章の路上ライブにつながるカタルシスに心が熱くなりました。閉鎖感があるからこそ、ルールを破る瞬間は開放感があります。全編に歌詞を織り交ぜる大胆な構成は、最初こそ作中と同じく「わからないけどいいかも」と感じるものでしたが、次第に物語とリンクし、終盤では頭の中で曲が流れるような感覚に浸れました。
特に、主人公の「結局、あたしは誰も愛してなんかいなかった」という否定から自己肯定へと至る流れは、大きな勇気を与えてくれました。「祝福としての文学」として、力強い希望を届ける一作でした。
作者からの返信
五三六P・二四三・渡さん
企画お疲れ様です。
感想ありがとうございます。
一話の歌が、主人公の心情の変化とリンクして最終話で違う印象に聴こえるようになれば、描きたいものが伝わるように表現できたと言えるかなと思っていたので、そのものズバリの感想が頂けてとても嬉しいです。
前を向く若者は手放しで祝福されるべきとの想いで執筆しましたが、「祝福としての文学」として力強い感想をもらえたことに感謝いたします。ありがとうございました。
第8話 ダストボックスに捨てた夢をへの応援コメント
あらすじから重々しさを感じましたが、いざビューワーを開くと、このこみ上げてくる「アツさ」は面白い。
あと登場人物の言動も若いし、それでいて、悩みや、明るい感情への描写もしっかり伝わってくるので、爽やかな読後感に包まれる一作です。
僕が昔に触れた作品に「グリムノーツ」があるのですが、あれはおとぎ話を主題に「ここではないどこか」と「いまではないいつか」を二つの柱として組み立てられているらしい。しかしなから、この現代小説だからこそできる、明確な「今」という明るさをワガハイも祝福したい、そう思わせてくれる力強い一作でした。
作者からの返信
繕光橋_加さん
企画お疲れ様です。
感想ありがとうございます。
若者が自立に向かって未来へ進む姿は無条件で祝福されるべきだろうという想いで執筆しました。祝福したいと思って頂けて作者冥利に尽きます。ありがとうございます。
第8話 ダストボックスに捨てた夢をへの応援コメント
コメント失礼します。
めちゃくちゃ良いアオハルでした!
最後のシーンがとても素晴らしい景色で、脳内にエンドロールが流れたし、小説でこんなこと出来るんだなぁと、新しい表現を目の当たりにした気持ちです。
素敵なお話を読ませて下さり、ありがとうございました!!
作者からの返信
野村絽麻子さん
コメントありがとうございます!
最後のバイクの冷たい向かい風を受けて前に進みながら歌を歌うシーンは一番書きたかったシーンだったので、褒めてもらえてとても嬉しいです。
こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございました!
第8話 ダストボックスに捨てた夢をへの応援コメント
ラーさんさん、ご参加ありがとうございます!
とってもよかったです。うるっと来ちゃいました。
感動しているばっかりじゃなくてちゃんとコメント書こうと思って読み直したときに思ったんですが、テンポのいい文体とぽつぽつと語るような文体がシームレスに使い分けられていますよね。ケイコのテンションが反映されているのかもと思ったり、歌のことばと歌ならざる(歌を歌うケイコが逃れたいものを語るときの)ことばに分かれているのかなと思ったり。(冷静に考えてみるとすごい技倆のことなのですが)。
また、例えば第2話の会話で寸断されたケイコの地の文なんかはもう、「普通の」演技を頑張るケイコの奥底に入ったヒビのように感じられて切なかったです。その後の歌の合間に挟まれる地の文とはだいぶ性質が違いますよね。読点だけで区切られた、ふらふらと力なくよろめくようなリズムの前者と、ちゃんと句点でも区切られている、やっと自然に息ができて活き活きしたリズムを得た後者みたいな風に感じました。ラーさんさん作品って、細部が作り込まれているところは勿論すごいんですが、語りの息遣いまでが完璧にコントロールされていているのはなんかもう、超絶技巧や神業といっても過言ではないような気すらしてきます。細部に神は宿るとは言いますが、神が満員電車みたいに詰め込まれている。そして何より、ひとつひとつの表現技法がちゃんと語り手の心の動きにマッチしているのがとても好きです。わたしはこういう書き手さんに弱い……とても最高でした。
多分、ここの文体が好き、みたいな話をしていると永遠に終わらないので、今回はここまでにさせてくださいませ。
人物造形もすごく良いですよね。主人公のケイコの性格が、第1話の時点でかなり一貫した形で提示される。おどけたように振る舞うところとか、彼氏にはいいところだけを見せようとするところとか、山本みたいな助けを求めなくてもいいタイプになら甘えることができるところとか。ただそういった理論的なところだけじゃなくて、例えばショウくんが「そんなの」と途中まで言ってから首を振って「無事でよかった……」とケイコを抱きしめるところとかわたし大好きなんですけど、普段のその人から外れた行動するときの愛おしさというか、溢れた感じの描き方もとても良かったりして、素敵でした。
ケイコとショウくんが二人とも、別に申し合わせたわけではないけど「変わる」ことを考えているのも良いですよね。「あたしも変わらなきゃならない。変わる周りと同じように、あたしもあたしを変えなきゃならない。あたしを愛せるあたしにならなきゃならない。」そして「ケーさんが僕を受け止められるようになる日まで。受け止めてもらえる自分になれる日まで」。ケイコが実際にショウくんに発言したことだけからレスポンスするなら「それでも僕はケーさんが好きです。愛しています」で終わってしまうようなパターンも、ショウくんの人柄によってはあると思うんですが、しかし彼は「やっぱり純粋で、純情で、純愛と情熱に溢れた男の子」だった。ラーさんさんがこの物語にこの男の子を置いたことは、きっと彼らにとってすごく必要なことだったんだろうなと思います。『ダストボックスに捨てた夢を』は、作品のいいところが作品のよさのためにあるのではなく、作品のなかで息づいているもののためにあるように感じられるところが、何より尊く偉大だなあとしみじみ感じさせられます。
山本の存在もまた、あるべくしてあったのだろうなと思います。本作、極限までに絞るならケイコとショウくんの物語ではあると思うのですが、じゃあそれだけを取り出して成り立つかと言うと多分全然そんなことはないんですよね。山本を他の要素やキャラクターで代用することはできないのではないかと思います。それはケイコの幼馴染・居場所・父親代わりとしてものすごく大きな役割を果たしたというだけではなく、山本自身の物語もまた、この作品のなかでは一筋の柱として大きく存在しているからだと思うんですよね。本来の意味での主要人物の一人としてそこにいる。
多分、各視点での物語がしっかりと喚起されるという点で、単一の語り手による作品でありながら、群像劇的な強みも持っていると思うのです。19973文字という本企画最大の文字数でありながら、19973文字を遥かに越える中身の詰まった作品ではないでしょうか。
とても真っ直ぐな、どこまでも突き進んでいくような、そしてどこに辿り着いても大丈夫だと安心できるような、確かな祝福としての文学でした。本企画にラーさんさんが来てくださっててよかったと、作品を噛みしめながら強く思います。素敵な作品をありがとうございました!!!!!!!
作者からの返信
藤田さん! 企画完遂おめでとうございます!
こんな丁寧なコメントいただいて、こちらも少しうるっとしました。ありがとうございます。
文体について褒めていただいて恐縮です。
主人公の性格にもよるのですが、私は一人称の文体はそこまで型に嵌める必要のない書き方と思っていまして、語り手の感情の起伏や冷静さの度合いに合わせて文章の巧拙や語彙力の上がり下がりの変化をつけて、語り手の感情がよりダイレクトに伝わりやすいように表現しています。テンポのいい文体とぽつぽつと語るような文体はそのあたりのさじ加減で出てくる文体の変化だと思います。第2話の文のような自分でもだいぶ大胆な書き方したなと思っていた部分を取り上げていただいてとても嬉しいです。
ショウくんは書いていて一番意外性のあった人物です。書き始めはフラれて終わりと思っていたのですが「ちょっと調子に乗ったけれど特に悪いことをした訳でもないし、これでフラれるのは可哀想だな」と思い直して、とりあえずもう一度会わせてみようと6,7話を書いてみたら、思った以上に情熱に溢れた男の子でケイコと一緒に驚きました。そうしたライブ感があそこのやり取りにはあって、作者的にも思い直してよかったなぁと思ったところです。藤田さんに素敵な点として言及していただき、本当に思い直してよかったです。よかった。
山本くんはケイコより一足先に大人にならざる得なかった友人として描きました。ですので最初は保護者状態なのですが、ケイコが独り立ちを目指して一歩足を進めたときに、同じ自立を目指す同輩として自分の将来について話し出す8話という流れになりました。ケイコの変化が山本の変化につながり、それがケイコの未来の方向性にも影響を与えるという感じです。藤田さんのコメントで、確かに群像を単一の語り手で見ている作品といった趣がありますね。言語化されてなるほどと思いました。自分の作品なのに。こうしたことに気づけたのも、藤田さんの深い読み込みがあってのことです。ありがとうございます。
この小説が書けたのも、今回の企画のテーマが「祝福としての文学」であったことが一番の理由です。「若者が自立に向かって未来へ進む姿は無条件で祝福されるべき」というド直球の解題ですが、結果自分で書いていても意外性のある青春小説が書けました。ですのでこの小説の片親は藤田さんだといっても過言ではないと思います。
この企画を開催していただいたことにあらためて感謝申し上げます。素敵な企画をありがとうございました!