第2話

「ねえ、流星」


ある日、紅谷に声をかけられた。珍しく声をかけるので何かあったんだろうか?


「どうした?俺に何か用でもあるのか」


俺に伝えたいことがあるのかもしれないが何があるだろうか?心当たりが全く持ってない


「聞いた話じゃ、貴方は天姫の孫なんだよね?天姫と会ったことがある?」


どうやら、祖母について気になったことがあるらしい。今頃どうした?と思うが素直を話を聞こうか。早めに終わらないとしーちゃんからジト目で見られる


「祖母に何か気になったことがあるのか?」


「ええ、天姫とはそこまで仲がいいわけではないけど天姫に会ったことがある?」 


「ないが・・・どうしたんだ?祖母に何か気になったことがあるのか?俺は会ったことがないから学園長に聞けばいいじゃない?あの人なら祖母との話をするくらい問題はないと思うぞ。にしても天姫に気になるとは何かあったのか?」


「それは・・・そうね。天姫に聞きたいことがあったのよ」


暗い表情をする紅谷。何なら事情があるみたいだ


「聞きたいこと?」


「ええ


『黒』についてね」


その発言に俺は驚く。『黒』とは原初の1人で覇王に協力している原初の1人。紅谷と松本を倒すほどの実力者であることは学園長である叔父から聞いた。生徒が近くにいたので本気を出さなかったとしても倒せるか怪しいほどの実力者であると聞いた。


また、黒田さんから聞いた話では原初の中で厄介な人物と言われるくらいだ。本気を出したら間違いなく、あの場にいた者達に被害を出していたと言われるほどの危険人物だ。


それをなぜ、紅谷が知りたいのだろうか?何やら因縁があるようだがどうしたものか


「『黒』ーブラックとは何か因縁があるのか?」


俺は紅谷に言うと答えてくれた。紅谷が教えてくれた話に俺は驚愕する


「私の家族を殺した男だから」


「!?」


紅谷の家族を殺した?ってことは家族の仇を打つために俺に聞いたのか。でも、何故その話に祖母が出てくるんだ?


「家族を殺したとはどういう・・・」


「これ以上は教えない。天姫は昔、あの男に接触したことがあるみたいだから聞きたいことがあったの。あいつが何故、私の家族・・・父を殺したのか聞きたい。あの父が何をして原初に喧嘩を売って殺されたのかを」


なんか闇の深い話になってしまったな・・・


「そうか・・・まあ、事情はなんとなく分かったけど叔父さんでも知らないんじゃないか?原初と接触したことがあると言われてもおそらく数百年前・・・」


俺は何かを思い出す。そう言えばあの時の事件で有賀が『黒』に助けてもらったとしーちゃんから聞いた。能力者でも強い有賀を助けた理由は能力者の世界を作る目的を持つからという理由で助けたのかと思ったが『黒』は何故、有賀を助けた?


その時は星宮勝蔵と協力関係だったのなら・・・天姫に接触したことがあるという話が紅谷から聞いた。いや、まさか・・・


「それはないよな・・・」


「?何かあるの?」


俺の言葉に気になったのか紅谷が教えてくれない?と言われる。言うのは迷ったが紅谷なら何か分かるだろうと気になったことを言う


「先月の事件で『黒』が有賀を助けたみたいなんだ。あの時の有賀は滅王との戦闘でダメージが大きかった?みたいなんだが助けたと同時に傷を治したみたいなんだ。


あんなに能力者を助けるようなことをする人物なのか分からないが紅谷は何か知っているか?」


俺は紅谷に聞く。謎が多いし、気になる部分はある。祖母と『黒』に何かしらの縁があったのかもしれない。それを聞いて何があるのかと言われたら分からないが何かあったのだろう


「う〜ん、そうだね。原初は基本的に非能力者は興味ないからね。能力者を助けるのはよくある話みたいだけど『黒』が生徒会長を助けて協力してくれる理由は何か天姫と関わりがあったと思う。


何かしら『黒』かその関係者を助けたから恩を返すためにしたのか。私から考えられるのはそれくらいかな。助けるのはあるけど重症から治すなんてなかなかしない」


恩か・・・まあ、祖母が『黒』を助けたことがあるから恩返しをしているということか。義理のある人だと理解できるが非能力者に興味ないなら紅谷の父親を殺したのもその理由なんだろうか?


でも、それが理由で人を殺すのか?何か別の理由があったとしか考えられない。俺ならそんなことをはしない。わざわざ、始原の家族に手を出すなんてしないからな


「何か縁があるからか恩返しなのか分からないが非能力者なだけで人を殺すのか?それより、昔の話だと思うけど何年前なんだ?」


「女性に年齢の話はしないのがマナーじゃない?えっと・・・20代の頃だから魔法組合が創立される前の話ね」


魔法組合が創立する前の昔って400年前くらいの話なんだろう?始原すごいな・・・なら、非能力者なだけで人を殺すようなことはしないだろう。


聞いた話じゃ、原初が非能力者を嫌ったのは魔法組合創立した後からと聞いたから何か『黒』にとって辛いことでもあったのだろうか。敵討ちかもしれないけど真相は本人に聞く以外分からない


「そんな昔の話なのか・・・何かあったんだろう?無理に真実を知る必要はないと思うが・・・まあ、親がなぜ殺されたかなんて知りたいというか真実は知りたい気持ちは分かるけど・・・」


それでも俺に話してくれるような内容かな?始原と原初の因縁を聞かされている俺の身にもなってくれ。かなり闇の深い話みたいだから書きたいと思っても後悔するとは・・・


「まあ、早く見つけたいのもあるけど・・・って言っても前の事件に遭遇したから何も言えないわね」


「前の・・・ああ、アレか。まあ、あの時は仕方ないから無理もない。それより



お前、補習なかった?」


「・・・・・・」


どうやら、図星だったみたいだ。やれやれ、今回のテストは高いとかなんか言っていたが何故か今回の補習の対象が60点以下だったから仕方ないかな


「・・・今回はどの教科が赤点?だったんだ」


「・・・国語59点」


ギリギリ補習対象になったやつか、そりゃ凹むわ。1点差で補習対象になるのは辛いわな・・・なんで始業式の後に補習があるんだ?なんかおかしいのか分からないがまあ、仕方ないな


「頑張れよ」


「うん、すぐに終わらせる」


そんな簡単に補習が終わるのか?まあ、早く終わらせたい気持ちは分からんでもない。でも、驚いたのが・・・


「今回、補習をすることにした理由ってなんだろうな」


「私に聞かないで」


生徒が補習する理由を知るわけないか。今回の対象が60点なのはらしくないと思う。いつもなら40点くらいだからな


「まあ、頑張れ」


補習室へ向かった紅谷に向けて呟いた。しかし、今回のテストは妙に基準を上げたな。赤点の人が今回かなり多いみたいだし。仕方ないか60点以下を対象にされたら多くなるわな


「っでそんでそこにいるんだ?荒野と星宮妹」


紅谷と話す前から後ろで隠れていた2人を見る。すると2人は逃げ出した。なんで俺を監視するような感じに見てくるんだ?あの2人・・・


「行ってしまったな。ってかここ最近つけられているような・・・」


荒野だけなら無視してもいいのだが星宮妹まで参加していると気付いた時は驚いた。あの2人が付き合うくらいの仲なのは知っているがそこは似ていないほうが良かったと個人的に思っている。星宮妹ってイタズラ好きの人なのか?いや、どうだろうか・・・う〜ん


「今は文句言う必要はないかもな・・・うん」


「文句言う必要ないって?どうしたの?」


「え?」


俺以外に居ない廊下で女性の声がした。すぐに後ろを向くとしーちゃんがいた。いついたんだ?全くもって気づかなかった・・・いつの間に・・・あと、なんか怖いです


「紅谷と何を話していたの?」


「紅谷?ああ、祖母・・・天姫に会ったことがあるのかって話をしていたんだ。それだけだよ」


「なんで天姫に会ったことがあるのかの話を?」


「う〜ん、さあ?知らないね」


俺は飲み物を買いに売店に向かおうとする


がしーちゃんに肩を掴まれた。なんで掴まれる?


「何か隠してるでしょ?私に秘密にする気?」


「え?いや・・・それは・・・」


「少し話しましょう」


その後、紅谷との話をした俺。なんか怖いぞしーちゃん・・・

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