星に願いを

漆黒のいっぴきおおかみ

星に願いを


澄んだ冬の夜、空には無数の星が煌めいていた。

星が一つひとつ語りかけるようなその夜、紗希さきは天文台で観測を

続けていた。

彼女の側には、名前の通り星に深く縁のある青年、星矢せいやがいる。

「今日も星をみに?」そう尋ねる紗希の心臓はバクバクと音を立てていた。

「ええ、星を見るのが好きなんです。でも、ただ眺めるだけじゃなく、特別な名前をつけたいと思って。」

はにかみながら答える星矢の瞳には無数の星が映っている。

「星は、過去も未来も繋いでくれる。母がいつもそう話していたんです。」

その言葉に紗希の胸はかすかに震えた。

星矢の思いには、亡き母への深い愛情が込められていることが伝わってきた。

流星群が訪れる夜、二人は望遠鏡を離れ、広い空の下へと足を運んだ。

流れ星がひとつ、またひとつと空を横切るたびに、星矢は小さな声で願いを呟く。

紗希はその姿を静かに見守りながら、初めて感じた星の奥深さに心を奪われた。

「どんな名前をつけるの?」 紗希の問いかけに、星矢は深い瞳を彼女に向けて

答える。

「『希望の光』。母への感謝と、あなたの幸せを願って。」

紗希はその言葉に深い感動を覚えた。星がただの観測対象ではなく、人々の心を繋ぐものだと知った瞬間だった。彼女は星矢とともに星空を見つめながら、自分の心にも新しい光が差し込むのを感じた。


その夜、星空は二人のために特別に輝いているかのようだった。

静かな夜空の中で交わされた想いは、未来へと永遠に続いていく。

星たちは今も、二人の物語を静かに見守り続けている。


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星に願いを 漆黒のいっぴきおおかみ @lovetuba

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