第14話 勘違い
「玲央」
帰りの準備が進む教室で私は真っ直ぐ玲央に向かって行った。
「今日家行ける?」
「家...来るの?」
「そう」
「えっと...行けるけど...あれ ないよ?家の準備してないし...」
「大丈夫。行くからね」
「え?あ...うん。」
何故だか玲央の顔は戸惑っているような恥ずかしいような...感情が入り交じりすぎていて上手く読み取れない。まあいっか
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お家デートなどと言われているがやることなんて一つである。僕はそれに誘われたのだ。
流石に気まずすぎるのでこなつと帰るのはやめた。
「よう 今日は柏木さんと帰んねぇのか?」
「うん。木村一緒に帰ろうよ」
「おーっとぉ?ついに破局か?」
「埋めるぞ?」
「うへ〜!美人の怒り顔は怖いねぇ〜!」
「チッ...」
たまには友達と帰るのもいいかもな 僕はそう感じ始めていた。
下校中は木村と話していて忘れてたけど今日来るんだよな...そう思うといてもたっても居られなくなる。
来る時間はまだ先なのに家の掃除をしたり着る服を選んだりお風呂に入ったりする。とにかく何かをしていないと落ち着かない。そうこうしてる内にあっという間に時間は過ぎインターホンがなる時間が来た。
「お邪魔しまーす。」
「いらっしゃい。」
「初めて来たけど結構広いね〜」
「まぁね」
しばらくの沈黙が流れ脳が全力でなにか話題を探す。
「お菓子!...たべる?」
「じゃあいただきます」
「どうぞ」
こなつを連れてリビングの机に座る。
「なんか玲央いい匂いするね。」
「へ!?...まぁお風呂入ったから」
「どうりで」
こなつは僕を舐め回すようにみる。
「...見すぎ」
「あら バレた?女の子は視線に敏感だからね〜」
「そうなんだ。」
「...」
「...」
「...なにかする?」
「あ〜...玲央の部屋どこ?」
「2階の1番奥だけど」
「じゃあ私先部屋で待ってるね」
「え!?ちょっと待っ.........まじぃ?」
なにか嫌われることをしてしまっただろうか?会話が面白くなかった?童貞すぎる事か?
色々な憶測が飛び出る頭を手で抱える。
「行くかぁ...」
全力で暴れまくる鼓動を沈めきることが出来ないまま自分の部屋を開ける。
こなつは部屋に置かれた小さな机の前に座りなにか考え事をしているようだった。
「来たよ」
「...ああ玲央。早かったね」
早かったね...?どういう意味だろうか
「玲央。ベッドに座って」
冷たく、命令するような声音
全ての感覚をこなつに向け情報量が少なくなった世界でこなつの声だけが響いていた。
「玲央約束して」
「何を?」
「私がこれから何をしても私を嫌いにならないで」
「え...うん」
ただでさえ早い鼓動が更に加速する。彼女の腕が視界を占め、あまりの緊張に耐えられず目を瞑ってしまう。何が起きているのだろうか。こなつは彼女の体の熱を感じられる程に近づいていた。小さな呼吸が耳を撫でる。一体...なにを...?
「はい完成!いやぁ〜朝からずっと悩んでてさぁ
やっぱり私センスいい?」
「へ?」
「そっか〜見えないよね。ごめんごめん ほらどう?可愛いでしょ」
彼女に押されて立った鏡には可愛らしい髪型をした自分の姿が写っていた。
「可愛い...です。」
「どしたの 顔めっちゃ赤いよ?」
数秒前まで期待してた自分が恥ずかしい。
「んじゃ、次ね!服、脱いで」
「ふぇ?」
「私たっくさん洋服持ってきたの!...今晩は寝かさないよ?」
「いやぁぁぁぁ〜!」
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