おもちゃ箱
第19話 ある修行中の一コマ
「ふっ!」
「グギャアアアアアス!」
魔物の甲高い断末魔が聞こえ辺りには静寂が戻る。しっかりと死亡しているか確認までして首にかけたすとっぷうぉっちを確認する。
「十二分か.....二分は伸びたか.....」
そして【業】を自身の影へと引っ込める。一応言っておくが俺がやっている素振りや戦闘は半分は趣味だ。俺はあまり乱暴ごとよりかはぐだぐだしているのは好きだがやはり家にこもってげーむやそういったものをするよりは外で駆け回る方が性に合っている。そしてもう半分だが周りの奴らを守るためだ。この魔物とかいう奴らはいつ何時出くわすか分からない.....いや、それよりも俺が出くわす分には何も問題ないが親父やお袋、爺さん辺り要するに一般人は抵抗手段はないし、それと俺が魔物について知らなすぎるというのもある。個人的に今まで出会ったヤツらは犬と虫野郎の2人?だ。
まず犬だがクソ硬い上にあの巨体の割に身軽、弱点は目と.....まぁ今のところ一番気持ちよく戦えたから俺個人としては気に入っている。
そして虫野郎、こいつはやってみた感じから純戦闘なら恐らく犬の方が強い.....が、あの気持ち悪い類の気配をさせてる奴は経験上大抵奥の手を持ってるからあまり参考にはならないな。ついでに言うとこいつは卑怯な野郎だから俺は好かん。
そして最後は、
「こいつか...」
今しがた斬ったばかりの奴に目を向ける。
見た目は人間の体に蜘蛛のような細く鋭い足が八本生えた相も変わらず気色の悪い見た目をした奴だった。
「にしてもこいつ弱かったな...」
今まで戦った犬と虫野郎に比べると動きも遅くぎこちなかった。それと何より奴らに比べるとこいつには少し気配に違和感がある。
見た目はあいつら同様気持ち悪く明らかな異形なんだが気配の端々から微弱だが人間の気配がする。原因は分からないがこの魔物は恐らく今まで戦った奴らとは何かが違うのだろう。
まぁどちらにしても魔物側も一枚岩とわいかないのだろうこうも強さにばらつきがあると前世の俺でも勝てないような奴がいる可能性など全然有り得るわけだ.....
「ふふ...おっといけねぇちょっと楽しみすぎて震えが止まらねぇや.....あはははは!」
夜闇の中で笑いが堪えきれず高らかに笑っていると人の気配を感じたため急いで押し黙り、急いで物陰へと隠れた。続いて軽い靴音が聞こえ魔物の死体の前で止まった。息を潜め少しづつ覗き込むとスっと後頭部に冷たい感触が突きつけられ高めな女の声が聞こえた。
「動かないでください。そして手を上げて今から私がする質問に今すぐ答えてください」
正直めんどくせぇし逆に制圧してやりたかったが気配が相当な手練のそれだ、【業】が使えるならまだしも先程使ったばかりで連続使用はちとキツイ。しょうがないからゆっくりと手を上げる。
「あなたはここで何をしていましたか?」
「何をって?いやぁただ夜の散歩に来ただけだ」
緊迫した空気にそぐわない声が夜の澄んだ空気を通り後頭部に当てられていたものがグリグリとより強く擦り付けられる。
「あなたが酔っぱらいや変わり者の大学生とかならともかく多分中学生でしょ?普通に補導対象になるわよ。それとそこにあった死体からしてもあなたが魔法少女であることは明白。大人しく吐きなさい!あなたは【おもちゃ箱】の関係者?それとも野良?返答次第ではどうなるかわかってるわね?」
.....何を言ってるんだこいつは?魔法少女云々のくだりまではまだ分かる。が、なぜ俺が魔法少女にされる?それにその【おもちゃ箱】なんてやつは知らねぇし、こいつなんか勘違いしてやがるな。
「ちょっと何言ってるか分からないんだが俺はまだ小六だし魔法少女だなんてそんな幼女番組のキャラクターじゃねぇぞ?」
そう答えると後ろの奴は後ろからじーっと俺の体を見つめていようで視線が突き刺さりむず痒い。でも動いたら多分撃たれるよなぁ.....はぁだりぃ.....
「し、小六.....?この発育の良さで.....?(ボソッ)待て私今はそんなことを考えてる暇じゃないでしょ。本当に嘘をついても無駄なのよ?私があなたの魔力を見れば魔法少女だなんてことは丸わか.....あれ?魔力がない.....!?え嘘、私本当に一般人にそれも年下にこんなことを!?.....ちょっとやばいなんか気分悪いかも.....」
俺を見て魔力?とやらを探ろうとしたらしいが俺にはなかったらしい先程まで堂々と俺の頭に何かを突きつけていたであろう女は動揺して地面にへたり込んでいた。
しかしやはりこいつのこのトンチキな服装を見るにこいつも魔法少女なのだろうなということが分かる。それに明らかに紗良よりも強い.....まぁ今は放心状態でそんな面影も欠片もみえなくなっているが。
「お、おい...大丈夫か.....?」
「あ、ごめんなさいって違ーう!あなたは今すぐ帰りなさい!普通に今、夜遅いから変なやつに絡まれないように帰るのよ!」
ダッと立ち上がったかと思うと顔は真っ赤にしたまま早口言葉みたく注意喚起をするとてれびで見たジェット機みたいなな速さで瞬く間のうちに見えなくなってしまった。
「ったく、はた迷惑な奴もいたもんだな.....しかし確かにそろそろ帰らねぇと流石にバレそうだな.....帰るか」
いつもの修行のときの三倍は重く感じる体を引きずりながら俺は帰路へとついた。
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読んでいただきありがとうございます!
ここからは【魔物】VS【魔法少女】VS【おもちゃ箱】VS【主人公】VS〇ークライにて送らせてもらいます。これからも夜露死苦ゥ!
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