BLゲーム主人公の妹に転生してしまったので、サポートキャラになることにした
堀多 ボルダ
本編
プロローグ
BL恋愛ゲーム主人公の妹に転生してしまった。
ここは、通称「キミボエ」と呼ばれるBL恋愛ゲームの世界のようなのだ。
正式タイトルは、君と僕のエ……なんとか。エモーション? エチュード? エスケープ? エタノール? とにかくそんな感じの横文字。もしかしたら、君が僕のエなんとか、かもしれない。
ゲームについて思い出せることは多くない。
主人公とメイン攻略者が写っている数枚のスチル、あとは友人のゆっちゃんが「キミボエが~」と熱く語っていた声が脳内で再生されるくらい。その声は早口でまくしたてている上に途切れ途切れなので、話の内容はほとんど理解できない。
とにかく、高校二年生の主人公、
すでにバレているとは思うが、実は私はこのゲームのことを詳しく知らない。
私はノーマルカップリング派なので、BL系には食指が動かないのだ。
ではなぜ知っているかと言うと、前世での友人、ゆっちゃんの影響だ。ゆっちゃんは私と違い、BL至高主義。
ノーマル究極主義の私と、BL至高主義のゆっちゃん。オタク的嗜好はまったく違うが、友人として付き合うのならむしろこれがちょうどよかった。
私が究極のノーマルカップリングをゆっちゃんに全力で語れば、ゆっちゃんはあまり興味は持たず、しかし否定もせず話を聞いてくれる。逆にゆっちゃんが至高のBLカップリングを本気で語れば、私は、そんな世界もあるのか世の中は広いと半分くらい流しながら話を聞く。
趣味のジャンルが同じだと、カップリングや解釈の違いで悲しい諍いが起こることもあるが、私たちはそもそも住む世界が違うので、そういったことは起こらない。もしかしたら相手は違う考えかも、と心配する必要もない。なぜなら、私達の考えは最初から違うからだ。
自分の好きなものを一方的かつ存分に語りたいだけなので、相手がちゃんと聞いてくれなくてもお互いあまり気にしない。むしろ覚えていてくれないほうがまた同じ話をできるからちょうど良い、と思っていたくらいだ。……まあ、相手が覚えていても何度も話すこともあるんだけど。
お互いそんな関係がとても心地よかった。
そのゆっちゃんが熱く語っていたのがこのゲーム。
ゆっちゃんがいつもの倍のスピードで語り、しーちゃんも試しに一度やってみなよ! と誘われもした。ゆっちゃんが私にBLゲームを勧めるのは珍しい。よほど彼女に刺さったんだろう。
たが、ノーマル究極主義を掲げている私は敵陣に下るわけにはいかないので、そこは固辞した。
もしかしたら、あのときのゆっちゃんの熱量が、私に二度目の人生を与えてくれたのかもしれない。
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