カーテンと太陽

@watagasiuma

第1話 衝突

貴方にとっての普通は、私にとっての異常で。私にとっての異常は、貴方にとっての普通だったんだ。人間関係って難しい。顔も性格も出身も生い立ちも全部が全部違う。そんな人間たちが1つのコミュニティに放り込まれて仲良くなんて最初からできっこなかったんだ。

華の金曜日。幸せな気分で終わるはずが何故、こんなにも心が晴れないのだろう。思い出したくもない。無かったことにしたい。目を背けたい事実だが、心当たりは1つしかない。友との関係に亀裂が入ったからだ。

「私、もう辛い。縁切ろ、、」

そうあの子は言い放った。

「嫌だ、、」

私は駄々を捏ね始める子どものような言葉しかでなかった。謝ることもできず、弁解することもできず、ただ刻刻と時が過ぎて行くのを待っていた。1人反省会。今更もう遅いのだろう。その場の氷のような雰囲気に呑まれ、上手く話すことができなかった己を今まさに悔いている。私は昔から、人の感情を言動から読み取ることが苦手だった。兄弟にはちょっかいを掛けすぎ泣かし、親には本当に反省しているのかと何度も叱られた。地元の友人からは少し変わってる、あまりいない人だと言われた。

「限度というものがあるだろう。」

「執拗いと嫌われるよ。」

「なんで他者の気持ちが理解できないの?」

そんな言葉を何百回と聞いて育った。私は学んだ。相手から笑顔が消えた時と「やめて」と声を掛けられた時は絶対に続けるべきでないことを。今回はこの2つが通用しなかった。あの子に無理をさせてしまっていた。キャパオーバーだったのだ。何故、こんなにも感情に疎いのだろう。私という失敗作は生まれて来なければ良かったのかもしれない。

もう終わってしまった。取り返しがつかない。最初からやり直したい。そんなことを願っても今ある現実は変えることなどできないのだ。

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