第1話「学園に向かおう」
王都の周りに聳え立つ石造りの壁を見上げていた僕にフリントおじさんが声をかける。
「おい、坊主。そんな見上げてたら首痛めるぞ?これは経験者からの忠告だ」
「ごめんなさい、初めて見たから驚いて」
フリントおじさんは僕の顔を少し見つめ話を続ける。
「謝らなくていい。それと俺の前に坊主が先に軽い荷物検査だ。その時に試験場までの道のりを念のため、教えてくれるそうだからちゃんと聞いとけよ?」
「わかったよフリントおじさん」
「それと。確認なんだが、寝るところは学園側が提供するんだよな?」
「うん、お父さんはそう言ってた」
「なら、明日。合否発表を確認したら、この門近くにある宿屋にこい。そこで合流だ。いいな?」
「うん、わかったよ」
僕がそう返事をするとタイミングよく兵隊さんから呼ばれたため軽く手を振って、門の前にいる兵隊さんのとこへ向かう。
「まずは、お名前を聞いてもいいかな?」
優しく質問してきた兵隊さんに正直に答える。
「グリール・フェルトです」
兵隊さんは紙に何かを書きながら質問続ける。
「次にどこからどんな道のりできたのかな?」
「ボルン村から、山を二つ超えてヤルンガ平原を通りここまで来ました」
紙に何かを書き終わると、隣の兵隊さんにそれを渡すとさらに近づいてくる。
「それじゃ荷物確認をするね」
「はい」
最初に手に持ってる杖を見せて、次は手に持っている革が少し剝がれているトランクケース。そして着ている服のポケット、続けては全体的にか体を軽く触られる。体を触られてる最中一瞬兵隊さんの目が大きくなった気がしたけれど、難なく許可をもらえた。
「うん...問題なし。それじゃ試験場なんだけど。門から真っすぐ歩くと王都中心に神獣様を模した噴水がある広場から、左に曲がって真っすぐ行けば問題ないよ。それと、人が多いいからぶつからないこと、試験開始までまだ時間があるから、少しお店によっても余裕で間に合うからね」
「わかりました」
ぺこりと頭を下げて門の中を通る。
中に入ると景色が一変する。沢山の人が色んな服を着て、中には見たことないきらきらとしたアクセサリーを身につけている人もいて、新しい場所に来たんだと実感する。
「あっそうだ!いかないと!」
兵隊さんは少しぐらい寄り道しても時間はあると言っていたけど、初めて来たとこだから迷ってしまうんじゃないかと不安なり。僕はフリントおじさんが言っていた門近くの宿屋を横目で確認して中央までぶつからないように駆けていった。
「わぁ...」
兵隊さんの言っていた広場に来て思わず声を出してしまう。
神獣様がそこにいるんじゃないかと思うくらい精巧に作られた噴水があった。
といっても、僕は本の中に描かれた絵でしか見たことないけど。それでもちゃんとこれが神獣様だと思ってしまう。
神獣様の見た目は緑色のトカゲのような姿に、妖精のような羽を4枚、それに挟まるように大きな鳥の羽が2枚つけて、頭から水を出している様子で描かれているけど、それを完璧に模して、石造の目には綺麗な深緑の宝石がはめられていた。
「...はっ見とれてる場合じゃない!!」
頭を振り払い、目的であるグリラグルド魔法学園に向けて走り出した。
しばらく走っていると、巨大な建物が見えてくる。
「大きぃ...」
目的地が見えたことに安どして、歩くスピードが落ちていく。
もう少し歩くと、校門前には僕と同じであろう受験者たちと、受付だと思われるるテントがみえる。
とりあえず僕は、受付と思しきテントに向かい中に入ると、相手から先に声をかけられた。
「受験者の方ですか?」
そこにいたのは凛とした美しい女性であった。
細目なのか、はたまた本当に目を瞑っているのかは定かではないが瞳の色は確認できないが、肩眼鏡をかけているせいか、知的なイメージを残しつつ。透き通るような白い肌に、肩までストレートで伸ばした
「は、はいっ」
「では、席に座り一度深呼吸をして、これにご記入ください」
言われた通り椅子に座り深呼吸をして息を整えると、渡された紙に書かれている質問にゆっくりと記入する。
「はい、確認いたしま....男性のお方....?」
「男性です!」
「....えっと。恰好が...女性ものに....」
「えぇっと...これ女性ものなんですか...?」
「...た、大変いいにくいですが...そうです」
だからフリントおじさん。何かおかしかったのか....
「まぁ、男性ということでこちらで通させてもらいます」
「あ、ありがとうございます」
「いえ、お気になさらず。それでは、次に今日の宿泊先であるわが校の寮に荷物を先に入れるので、そちらのトランクケースを机の上に置いてもらってもよろしいですか?」
「はい、どうぞ」
トランクケースを机の上におき、受付の人はトランクケースを少し見つめると、開けてもいいかと確認され、コクっと会釈する。
中身を調べ終わったのかトランクケースを閉め、テント奥の荷物置き場に丁寧においてくれると、帰り際に何かを手に持ち椅子に座る。
「こちらの羽が受験者確認用のものなので、針を服に通して見えやすいところにつけてください」
そういわれて、水色の塗料が先に塗られた羽が机の上に置かれ、ゆっくりと手に取る。
「わかりました」
僕はさっそくそれをつけて、ほかの受験者と共に開始まで待機することになった。
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