魔法を極めて歩みだそう
永寝 風川
プロローグ
ガタガタと揺れる馬車の中、振動と肌に当たるごつごつとした感触、とどめにまぶしい光が目の裏にまで届き体を起こす。
「お嬢ちゃん...じゃなかった。坊主、ようやく起きたか?」
馬車を引いてくれるフリントおじさんは僕が起きた事に気づいて、横目で様子を確認しながら声をかけてきた。
「うん、おはよう。フリントおじさん」
返事をしながら、眠い体を起こして寝むい目をこする。
思考ができるようになってきて、髪の毛が乱れてるのに気づき、ゆっくりと手くしで整えると、フリント話しかけてきた。
「しっかし。まだお前さんを女性と勘違いしちまう。母にでも似たのかぁ?」
僕はその質問に長いエメラルドグリーンの髪を束ね結びながら答える。
「お父さんも昔は女性と勘違いされてたみたいだから、そういけう家計なんだと思う」
「あーそんな話聞いたことあんなぁ。あ、そうそう。そろそろ王都につくから馬車に忘れ物しないよう確認しとけ」
その言葉に何かしら景色が変わったかなと思い、顔を出して外を見るがゆったりとした風に揺られる緑の草原と時々スライムが跳ねてる景色が続いているだけで。がっかりしながら顔を引っ込めて返事をする。
「王都が見えてくるのはまだまだ先だぞ。まぁ準備し始めときやすぐ見えてくるから、あぶねえからはよ首引っ込めとけ」
「わかったよ、フリントおじさん」
さっき話に出た通り、僕とフリントおじさんは数日間、馬車にのり王都に向かっている。フリントおじさんは交易に、僕はこの国、ラフィン王国一番といわれる魔法学園。
その名も、グリラグルド魔法学園の入学試験に向かっている。
グリラグルド魔法学園は貴族であっても王子であっても実力がないと入れないとされている場所であり。逆に言えば市民であっても実力があれば入れるという実力主義の学園だ。僕は小さいころから魔法の才があったのと、親が魔法使いなのもあって知識もそれなりにあったため。
両親、特にお父さんから自分の実力と、自分がどれほどの存在か身を知るために試験に行ってみなさいと言われ、こうしてここまでやってきた。
「なぁ、坊主。本当にその格好で行くのか?」
「どこか変かな?」
フリントおじさんに指摘されて、揺れる馬車の中ゆっくり立ち上がり、足大きく開いて重心をとり、軽く服を一見するが変なところはない。
「変じゃないから、気になるというか...まぁいいや。坊主、危ないから座れ。あと、俺も応援してるからバッチリ決めて来いよ?」
「もちろんだよ、フリントおじさん」
僕は最後に忘れていたチェニックのベルトをバッチリ占め、その場に座りなおして。もっていく物の確認をし、最後に魔法の杖の手入れをする。
手入れをして効果が強くなるとかはないけれど、親からもらった大切な杖だし思い出も詰まっている。
だからこそ、長く使えるように丁寧に手入れを進める。
「?」
一瞬、魔力を加えてないのに、先端についている緑の宝石が淡く光ったきがしたけど。けれど気のせいだと思い、僕は王都に到着するまで丁寧に手入れを進めた。
「坊主!王都が見えたぞ!」
「ほんと?!」
顔を出して前を見る。
遠くからでもわかる綺麗なお城と、魔物や盗賊などから人守るため聳え立つ壁。
僕は初めて王都に向かうのも相まって興奮していた。
「あれが…王都」
「そうだ。あ、そういや伝え忘れてたが、俺試験会場の場所わかんねえから。中入ったらそこでお別れだ。といっても、試験の結果次第ではすぐ再開だけどな」
「不安なこと言わないでよ」
「すまんすまん、それじゃ。も一回荷物確認しとけよ?」
「うん!」
初めての王都。もしかしたら、すぐ離れちゃうかもだけど...僕は後悔がないように全力を出そうと決心して、僕は後ろを振りいて荷物のチェックを再び始めるのだった。
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