第50話 赤い閃光
ホロは、複製した目から赤い光線を放サッサ・ロンドに攻撃を仕掛けていた。
だが、それらはことごとく避けられており、サッサ・ロンドはさながら踊っているかのように優雅にステップを踏んでいた。
「はははっ、これは良い余興になるなぁ」
「くっ」
サッサ・ロンドは誰がどう見ても余裕そうであり、時折俺に向かって視線を送ってきていた。だが、この状況はホロとの一対一の状況ではなく、サンゴもいる。
そう思い彼女を見ると、サンゴは左手を抑えながらどこかつらそうな表情で立ち止まっていた。その様子に俺は思わず彼女に話しかけた。
「サンゴどうした、やらないのか?」
「・・・・・・その、あの赤目の人がめちゃくちゃすぎて、入る隙がありません」
「なるほど」
「あんな乱発されたら、手出しするにもできなくて」
「それは仕方ないな、だが、あれだけぶっ放して大丈夫なのか?」
「さ、さぁ?」
せっかくきれいな和室はホロの赤い閃光によって黒い穴が点々と増えており、この様子だとおわるころにはアリの巣のようになっているかもしれない。
そんな状況の中、ひらひらと避け回っているサッサ・ロンドは突如として停止した。
「さて、さすがに余興はしまいだな」
その言葉と共にサッサ・ロンドの元にホロの赤い閃光が直撃しようとした瞬間、大きな白煙がボフンと発生した。
どこか異様な光景の中、突如現れた白煙が晴れるとそこにサッサ・ロンドの姿はなく、白銀の煌めきが視界の端を走った。
すかさずそっちに目を向けると、サッサ・ロンドはいわゆる忍者刀と思われる刃物を装備しており、それらを振り回しながらホロの複製した目玉を一つ一つ確実に破壊し始めた。
その動きはまるで瞬間移動でもしているかのように早く、刀を振り下ろす瞬間だけ現れては確実に目玉を潰す光景は、まさしく圧巻であり、ホロはなすすべなくあたりをきょろきょろと見渡す事しかできずにいた。
あれだけ、先手を打って出たホロが手も足も出ない状況の中、サッサ・ロンドは再び動きを止めた。
そして、ホロが複製した目玉は一つ残らずなくなっており、ホロはわずかに息を切らしていた。
「そうか、目玉はダミーで本体はその額か」
実に的確で、まるですべてがお見通しの様な言葉にホロは動揺した様子を見せていた。
「もう一人の女は向かってこないのか?」
サッサ・ロンド言葉にサンゴはわずかに体を動かしたのだが、それを阻むかのようにホロが叫んだ。
「私一人で何とかできますっ」
「はははっ、相変わらず威勢がいいなお前は・・・・・・全く、まるで成長していないな」
サッサ・ロンドはわずかに声色を変えてそう言うと、まるでホロに狙いを定めたかのように鋭い目つきをしたかと思えば、再び白煙が発生した。
すると、いつの間にかサッサ・ロンドはホロのすぐ背後に回り込んだ。
しかし、ホロもそれに気づいたのか、すかさず振り返ると、サッサ・ロンドはそれを待っていたかのように嬉しそうに笑い声をあげた。
「あの日と同じ光景だなぁっ」
サッサロンドは手に持っている刀をホロの目にめがけて突き刺そうとしたその瞬間、あたりに甲高い金属音が鳴り響いた。
そして、サッサ・ロンドの剣先はホロの目の前で静止しており、チリチリと甲高い金属音を立てながらかすかに剣先が揺れ動いていた。
それはまるで、何かに阻まれているかのようであり、サッサロンドは動揺した様子で刀を引き、ホロから距離をとった。
「なんだ、今のは・・・・・・」
サッサ・ロンドの視線はサンゴに向けられており、サンゴもまた彼女の事を見つめていた。そして、サンゴは静かに口を開いた。
「今度は私が相手です」
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