第2話
「…そうだ!ユーチューバーやろう!」そう安易に思いついた美幸。フットワークの軽さ早さは他人に引けを取らないのであった。家に帰ってオムライスを食べながらスマホでECサイトを眺めてなにやらポチポチ。そして翌々日…
「お、おい美幸… これはなんなんだ?」
「やぁ圭ちん… えーとコレはね、ゲーミングPCにゲーミングモニターにゲーミングキーボードにゲーミングマウスにゲーミングチェアにワイヤレスゲームバッドに…」
「美幸… 仕事も探さず、この後に及んでゲームだなんて一体なに考えてるんだ!そもそもパソコンでゲームはできないぞ…」
「遅れてるナー… 今どきはできるんだよ。ソフトも入れ替えなくていいし便利なんだよ」
「ソフト…? ああ、カセットのことか。ところでこのコントローラー、線が繋がってないぞ…」
「(無線っていってもわからないだろうなぁ)ンーまた繋いどくよ」
「こっちは?」
「こっちわね… Webカメラとマイクとヘッドセットとキャプチャーボードだよ」
「なにがなんだか… ところで美幸、どうやって買ったんだ?父さんから借りまくって貯金はマイナスじゃないか。まさか…怪しいバイトで貯めたなんてことないだろうな!?」
「怪しいバイトなんてしないよ…ちゃんと圭ちんのデラックス・プラチナカードで買ったのですよ」
「それならよし... え?なんだって!?」
「 『配信者全部のせセット』トータル80万円カードで一括ありがとう圭ちん!感謝&感謝…」
「な…なんということを… 送料無料の店舗で買ったのか?ポイントも貯めたのか?」
「もちろんだよ!ちゃんとポイント20倍のお店で買ったから、トータル16万ポイントがキャッシュバックされました!やるでしょ」
「まぁ、それなら… ところで『配信者』ってなんだ?」
「なにも知らないんだナー… 配信者とゆうのは最近流行りの仕事だよ。ユーチューブとかでいろいろ企画したりゲーム配信したりするんだよ。んで動画に広告がついてね、広告料が入るって仕組みなんだよ。ファンからの投げ銭とかもあるからあっというまにお金持ち!圭ちんへの借金も利子500%ですぐに返せます」
「あのなあ美幸… 配信だけで生計を立てていくのは非常に難しいんだぞ。よーく聞きなさい。YouTuberの主な収入源は「広告収入」「スーパーチャット」「チャンネルメンバーシップ」「企業案件」「グッズ販売」だ。順に見ていくぞ…。まず広告収入。これは動画の再生回数や視聴時間、広告単価によって収益が決まる。一般的には1再生あたり0.05円〜0.5円が相場と言われているが非常に変動が大きく不安定だ。次にスーパーチャット、いわゆる投げ銭だが、プラットフォーム手数料が引かれるから相当な額が投げられない限り手元に入るのは僅かだ。そしてチャンネルメンバーシップ。サブスク料金が自動的に入る、なんて甘くはない。それに見合うだけの価値ある限定コンテンツを継続的に生み出し続けなければならないんだ。そもそもメンバー登録してもらうのだって簡単じゃないぞ。そしてチャンネルの質が落ちればすぐにメンバーは減っていく。企業案件は相当なフォロワーがいないと話がこない。そこまで辿り着けるのは本当にごくごくごく一部だ。最後にグッズ販売だが、 ひとに買いたいと思わせるようなオリジナルグッズを製作しなくちゃならない。センスが必要なうえ、自分の名前にブランド力を持たせるのは容易じゃないぞ」
「(なんでそんなにくわしいのよ)あのね、女性配信者はさ、顔がちょっとばかしカワイイだけでコメントもお金もポンポンポーン☆って飛んでくるんだよ。居眠りしちゃうような内容でもネ… だからわたしみたいに若い女子がやってればいけるよ。いまはそんな時代なんだよ」
「(自分をかわいいとは言わないのか…)そんなの間違ってるぞ、社会もお前も!」
「たくさん儲けて圭ちんにも新車買ってあげるからね。たのしみにしてていーよ」
「今の30年落ちステーションワゴンで十分なんだよ… おい、このヘッドホン耳がついてるぞ?」
「あ’’ーうるさいナー… ちょっと配信テストするからサ、ほらでてったでてった」
圭一を追い出して早速配信を始めようとする美幸。甘すぎる考えをたしなめられてしまったが、既に80万円相当の機材を揃えてしまった以上、後戻りはできない?状態に。果たして配信者は簡単に稼げるという目論見通りにいくのか。
また翌日、圭一のもとには光熱費の引き落としができなかった旨の通知が届いた。カードの利用限度額を超えてしまっていたのである。
しゅーかつ! ~イナカ女子1/4代記~ Kei @Keitlyn
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