三日月少女

taiyou-ikiru

第1話

 私は三日月少女。比喩じゃない。

頭が三日月。体は人間。私は星で暮らしている。小さい星。でもそれで満足しているの。10歩歩けば回っちゃうぐらいの星。でもその中に宇宙がある。狭い宇宙がある。それは不思議だった。最初は でもあるからあるんだ。

 そんな世界で私は暮らしている。いつもは星の中でなにかをしている。それは掘っているのだろうか。わからないとにかく動きが取れない。水の中のまだらみの様に。だけどそこに不快感はない。あるからだろう。そうやっていつも暮らしている。


 まだらみは私に与えてくれた。そして奪ってくれた。まだらみは平等だ。もう離れることができなくなってしまった。それが  いけないことだと知っていても。


 まだらみからでると不快なまだらみが目の先を滴る。体の重さを騙して歩こうとしても黒が覆う。

 まだらみがないと黒が覆う。でも光もある。でも黒が覆う。それにどうにも怯えて         私はどうにも滑稽で奇妙で不快で辛い。

 だからまだらみに戻るの。でもそれは辛い。でも仕方がない。



 

 三日月少女はいずれ月になる


  昔から言われている

 もうなにも感じない。



まだらみの中で考える。

  そうやって目を閉じてみるといつもの光景が浮かぶ。


 「お母さん。お母さん。私は一体どうなるの?」

「いつか月に、、、」

とそこで耳に音が響く。来訪者だ。


 時々来訪者が来る。まだらみから必死で起き上がる。

 綺麗だった。その子は綺麗だった。

「久しぶり、来たよ、」


 その子は光だった。まだらみが反射する。黒が沸く。


「ねぇ   ちゃん」

「なに?」

「来てくれてありがとう。私、うれしい。」

 まだらみが唸る(うねる)


 光は一層強くなり

 

「 もちろん。あ、これ持ってきたんだよ。ほら、ね」


 ものを置く。それを見る。


「よかった。思っていたより、元気そうだね。」

「、、、うん」

 「ねぇ聞いてよ。私さ。明日から行くんだ。新しい場所に」

「そう、なんだ。」

 


           「三日月も頑張ってね。」

 じゃあね。私はもう行くから。

 まってなんていうまくもなく。光は小さく消えた。また黒



 黒黒。




 そうやってまだらみに戻る。私の涙がまだらみに消える。


 こんな私を誰か愛してほしい。


 こんな私をだれか葬ってほしい。


 こんな私が生きている理由おつけてほしい。


 そんなことをよぎり重い、吐き出す。


 まだらみの中に消えていく。私のくろ。


 いつか会えると信じて。


 くろを吐き出す。


 それでもなにもかわらない。


 でもそれでいいなんて思っている自分が嫌いだ。


いつか三日月少女は月になる。


 こんなことを考えているといつも思い出すことがある。私には好きな太陽がいた。恰好が良かった。

 太陽は神出鬼没で素行総裁

端的に   恋焦がれていたのだ。

 でも太陽はどこかへ行ってしまった。突然だった。私はそれを見届けることも何もできなくて。消えてほしくなかった。でもそれは私だけの思いだ。

 太陽には太陽の事情があったのかもしれない。そんなことを思い出す。


私はまだらみで太陽まがいを探しているのかもしれない。




  でもこんなに辛いことだけじゃない。楽しいこともある。

きっと



 きっと

 



泣き出す私の涙はいつも赤。まだ赤。


 

 

 そうやって三日月少女はいづれ月になる

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三日月少女 taiyou-ikiru @nihonnzinnnodareka

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