『誰がそれを』

誰に相談しても。

どんなに工夫して喋っても。

顔を真っ赤にして、興奮気味に声を荒らげても。

ニコニコして、優しく。やさぁしく、話しても。


誰にも。

恋人にも。

親にも、友達にも、一番の親友にも。

知り合いにも、飲み仲間にも、学生時代の昔の友達にも。

仕事の同僚にも、上司にも、後輩にも。

誰に相談しても。

本当に誰も賛成しなかった。


全員が全員。

鼻で笑ったり、きつく睨みつけてきたり。

お前は浅い奴だって、言われたり。

まともに人生を考えてないって、言われたり。

机を叩いて、怒った奴もいた。

黙って面倒くさそうに話を聴かれてたのが。

一番、堪えた。


それでも、諦めずに相談した。

本当に、諦めたくなかったから。

色んな人に相談した。


そしたらひとりだけ。

恋人でも、友人でもない。

知り合いかって言われても、そうだっけかな、と言うくらいの。

その程度の間柄だったんだけど。

本当にその人だけだった。


黙って、こっちの目を見て。

頷いてくれた人がいた。


嬉しいものなんだな。

受け入れてくれるって。

あんなに嬉しいものなんだな。


諦めなくて良かった。

本当にそう思えたよ。




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