第20章:「聖なる炎」

クロタマが襲いかかり、四人は散り散りに回避した。

「パリファイ!」俺の放つ神聖な光が命中するが、幽霊は僅かに後退しただけだ。

「効きが弱いニャ!」ノコも跳びながら精霊の光を放つが、クロタマの動きを鈍らせるのが精一杯だった。


マヤが炎の剣を振りかざして唸る。

「一撃で倒せないなら、囮になろう!」横へ飛び、「おい、デブ玉!こっちだ!」


クロタマは挑発に乗り、マヤへ向きを変えた。ザラが雷の一斉射撃を放つが、電撃は幽霊を貫通するだけでダメージを与えられない。

「くっ……普通の幽霊じゃないわ」


疲労が蓄積していく中、マヤの息が乱れ始めたのにクロタマが気づく。

「マヤ、危ない!」


幽霊がマヤに襲いかかる――その瞬間、マヤは歯を食いしばり、今まで見たことないほどの炎を剣に灯した。黄金に輝く炎が、彼女の意志そのもののように燃え上がる。


ガシャン!


クロタマは炎の剣に衝突し――初めて悲鳴を上げた。

「は……はあ……まさかこんなところで目覚めるとは」マヤは自分の剣を驚いた様子で見つめる。


ザラが鋭く目を見開いた。

「マヤ……今のは……」

「何が起きたんだ?」

「あのゴリラ、意外とやるじゃない。聖なる炎を覚醒させたわ」

「聖なる……炎?」

ザラが説明する。「普通の炎は自然の火をマナで模倣するもの。だが彼女の炎は……意志そのものが燃料よ。だからクロタマに効いたの」


「マヤ、すげえじゃん!」

「バ、バカ!そんなじろじろ見るなよ!」マヤは顔を真っ赤にし、復活しつつあるクロタマへ剣を向けた。「早くあいつを片付けようぜ!」


傷つきながらも、クロタマは再び立ち上がった――

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