第28話── 「消えた元教師と過去の記憶」

斉藤の影が消えた地下倉庫。ユリとリクは静寂の中で息を整え、決意を新たにした。

「この場所には、まだ隠された真実がある。」ユリがつぶやく。


リクは机の上の散らばった紙を丁寧に拾い集めた。

その中には、子どもの頃に見たことのある写真が混じっていた。

薄汚れた白黒写真に写るのは、あの日失われた元教師、タカシだった。


彼の表情は穏やかで、まるで未来の悲劇を知らないかのようだった。


ユリは指で写真の角をなぞりながら呟いた。

「彼は何を守ろうとしていたのか……なぜ息子を失い、罪を背負うことになったのか?」


リクはゆっくりと口を開いた。

「きっと、この街の“嘘”は彼の過去と切り離せない。

あの“遺書の書き方マニュアル”も、彼が関わっている可能性が高い。」


その時、微かな物音が地下倉庫の奥から聞こえた。

二人が目を向けると、壁の一部がわずかに動いた。


「何だ……?」


ユリが近づくと、古びた壁のパネルが静かに開き、薄暗い通路が姿を現した。


リクが懐中電灯を取り出し、先に進む決意を示す。


「これが、あの暗号が示す場所かもしれない。」


彼らはゆっくりと闇の中へ足を踏み入れた。

その先に待つのは、過去の記憶と未来の真実を繋ぐ“扉”だった。

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