第6話 ズレ神、道作る
ふうー熱いな、汗だらだらやわ。干物になるでワイ。
炎天下の太陽は、人々から、水分を体から奪っていこうとする、
それは神であっても一緒らしい。
まあ受肉してるし、普通の人間やしほとんど、自慢じゃないけどワイ無能やで。
神にしてはな。
今日は、何の仕事かというと、コンサートの設営スタッフのバイトやで。
めちゃ説明的やけど堪忍な、著者まだ素人みたいなもんやから。
許してやってや。
はあーあつぅ......死ぬなこれ。
「まあにいちゃん、水分とれよしっかり。」
設営スタッフの監督のおっさんから、ホカリズエットうけとって一気に飲み干す。
「びゃあぁあーうまいな。」
最高やホカリズエット、CMしたいぐらいやわ。
設営用の鉄パイプの搬入作業をバイト総出でやってるところだった。
搬入した鉄パイプを本職の職人が鮮やかな手つきで組み立てていく。
今回、何のコンサートかというと ”座間ソニック2025” 夏の一大音楽フェスだ。
なんかなまた管理神のねえさんからの指令で、ちょっと”座間ソニック2025”の設営スタッフとして潜入してやって、潜入っていうとかっこいいけど、
実際ただのバイトしてるだけやしワイ。
まあねえさんが言うからには、ズレ神としてのワイの出番やってことやけどな。
とおもっていたら何かが倒れる鈍い音がした。
「おーいだれかきてくれたいへんだ、熱中症でバイトが一人倒れたぞ」
いわんこちゃないな、監督のおっさんも言ってたのに水分とらんかったんやろうか?
夏の太陽が、じりじりとステーキを焼くような音をたててるかのようだ。
「はーい僕、医師免許持ってますよ、患者はどこですか?」
なんか周りがざわついた。失礼なことに、こいつなにいってんねんとか、にいちゃん暑さで頭いかれたんかとか、なんで医者がこんなバイトしてるわけないやろとか。
いやもってるし医師免許、ちゃんと病院勤務してた時期あるから。
まあしゃあないわな、俺見た感じパッとしないおっさんやし、無能そうやし、たしかに
神の中ではいつもおまえほんまなんにもできんな。
っていわれるし。
海割って道作れへんのまじかーって、海神のおっさんから言われたことあるけどな。
いやいやいや、できんひんからそんな事、普通はできひんでって、
海神のおっさんにいっても
いやいやみんなできるで大概の神はって、いうし、ってどうでもええはいまは、
病人助けなあかん。
はいはいどいてや、
人かき分けて病人のもとに向かったら、
監督にお前ほんまに医者か見たいな顔されたから、ポケットから四つ折りにたたまれた医師免許の免状を出した。
まじかこいつみたいな顔されたけど、たぶんいろんな意味で。
「おーい意識ありますか、大丈夫ですか? お名前言えますか?」
病人は20代ぐらいの男性だった。
「は....い。」
「よかった意識はあるみたいやな、氷嚢や冷たいタオルありますか?
あと経口補水液、
それと救急車呼んでください、点滴が必要やな。」
監督のおっさん驚いた顔して救急車の手配と必要なもん持ってきてくれた。
いちおう信用されたらしい。
氷嚢で首・脇の下・鼠径部を冷やしてやりながら、経口補水液少しづつ飲ましてやった。
そうこうしてたら救急車がきて、担架もって救急隊員がやってきて、
病人の男性を乗せた。医師の方もついてきてください、
言われたからついていくことになった。
いつのまにか、かなりの人が集まってて、人混みができてた。
それでワイこういったんや。
「はーい!みんなどいてくださいーーー!!」
人混みが分かれて、十戒のモーゼが海割ったみたいに、道が出来た。
「あ、おれもできるやん。」
海神のおっさんにやっと自慢できるわ。
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