第10話 自宅

ここで問題。

俺はこの時、最高の気分だった。なのに家に着くと憂鬱になった。

それはなぜか?













 答え。

 家にいる母親とは、顔を合わせたくないからだ。


 それで俺は出来るだけ静かに音を立てずに家に入った。

 でもそこで、母親が出迎えた。心配してそうな表情だ。


※※※


「大地。最近帰りが遅いけど何かあったの?」


母親はそう言った。


 一見優しそうに言っているが、母親が監視しているのではないかと俺はいつも思っていた。こういうことは小さい頃からずっとそうだ。


「心配ないよ。ちょっと寄り道してるだけ」


この言葉に母親が反応した。


「寄り道って、それどこよ?」


母親が詮索しだしたようだ。

――ああ、面倒くさい。


「別に、学校の図書室とか、外でファミレスによるとか」


「ファミレス? 同級生に何かされてるの?」


眉をひそめて言う母の声は、怒っているのか心配しているのか判別できなかった。


「いや、ないよ。何でそうなるの」


 母親がしつこいので、俺は振り切って二階の自室に向かった。


「あ、ちょっと。ねえ」


 バタン。

 俺は部屋のドアを閉めた。

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