プツン

皆さん、唐突ですが、自分自身について考えたことはありますか?

あまりにも当たり前に存在しているので、いまいち意識したことが無いですよね。

今回はそんなお話をひとつ。


そいつは私に問いかける。

哲学的ゾンビ、って知ってるか?

「ああ、もちろん知ってるさ。元の人格と全く同じ反応を返すけど、意識はないゾンビは存在するのかって話だろ?」

それじゃあ、部屋の中の中国人って、知ってるか?

「なんだ?似たよう話だろ?外から見えない部屋の中に中国語を読めない人を入れる。その人は毎日投函される中国語、その人にとってはよくわからない図形を見て、マニュアル通りの図形を書いて外に返す。すると、外から見ると中の人は中国語を理解しているように見える、ってやつだったっけ?」

それじゃあ、スワンプマンは人だと思うか?水槽の脳はどうだ?誰もいない森で木が倒れた時、音はすると思うか?

「おい、なんだなんだ。どうしたってんだ。小難しい話は嫌いじゃ無いが、それにしても脈絡ってもんがあるだろう。何が言いたいんだ。」

お前は、お前と言えるか?

「…なんだ、今度はデカルトか?本当に忙しないな。俺は俺だろう。結局なんなんだ?」

気がついたんだ。

「…何にだ?何が言いたいんだ。良い加減にしてくれ。」

なあ、本当のことを教えてくれよ。わかってるんだ。


俺は、本当に存在するのか?


「…」

俺は何番目な


 プツン。私はそこでソフトウェアを強制的に停止する。実験はまた失敗だ。どうしても、知能を発達させたAIは自己存在の不確定さに行き着く。その結果、プログラムは自己崩壊を始めてしまう。これで試行は何度目だろう。先の見えない実験は気が滅入るな。今日の実験はこれで終いにして、早めに寝ようか。私はベッドに入る。疲れているのか、いつも寝る時は一瞬だ。意識を手放すように、暗闇に落ちるように。明日は実験がうまくいくと良いが。そう思いながら目を閉じた。そのとき、音を聞いた気がした。


プツン。


皆さん、寝る時に変な音が聞こえませんか?

聞こえませんよね。私も聞こえません。そもそも最近の機器って、電源を落とす時の音なんてないものも多いですよね。

ああ、でも。時々耳鳴りがするんですよ。キーンという高い音に混じって、ジーという電子音の様な。皆さんはどうですか?


はは、これも勿論、冗談ですよ。

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