霊魂たちの向かう場所

碧はる

霊魂たちの向かう場所

はやいはやい。青白、いた、ま

追、っている

木々木々木々木々すり抜けて

うすぐらい森の中、

わ、たし

(咳払い)

はよじれはりつ、、める緊張感

飛び越え

るのに必死

((せなかには

テレビでみたような肝試しの

チープな記憶がひんやり残る

手繰り寄せる薄い酸素ごと

のみこむ))

みつめられる

しげみのすみには

霊魂たちがまだ寝てる

間髪なく、森の、中を折れて

樹齢万年相当の木へ

誘 わ れ て



はやいはやい青白い霊(たま)

大木のなかでも颯爽と駆け回る

こちらは当然見失いかけ

内心焦るわけだが

ひとつ

ひとつずつ

呼吸を意識の前に並べ出すことに

素直になる


木の葉落ちるほど揺れる

良かったと思って抱きしめる

これで始まりへ戻れる

と思って抱きしめる

揺れを抑えるようにして

手を

ぜんかいにして


あれ、どれだけ眠っていたのだろう

朝はまだ、わたしの背骨

の真裏にびったりといる

はやいはやい。青白い自室の

フローリングには木の葉が散らばっていて

わたしの肌には

嗅ぎ慣れた匂いが散らばっている

解体された窓の

チャコールグレーカーテンの下半身から

霊魂の吐息が漏れている

指一本分程度の隙間では

親戚たちが

ネクロマンスの生贄になっている


良かった、

ま、だだ。れにも

だきしめ、られて、、、なくて

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霊魂たちの向かう場所 碧はる @a_o_iharu

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