どうする?
一週間というのは、あっという間に過ぎた。
そのおかげで、もう花火大会の日です。
幼馴染とのお祭りは、初めてじゃないけど…でも、完全に二人っきりってのは、初めてだった。
しかし、これはデートでもなく、ただの幼馴染祭りだ。
だから、なんの心配もないのだ。
いつものように、遊びに行く時のように柚芽那を家まで迎えに行くと、柚芽那は…柚芽那は、浴衣を身にまとっていた。
…
なんで?
オレはてっきり…いつもの格好だと思っていたのに…
なんで…ただの幼馴染とのお祭りで浴衣…
しかも髪の毛までめっちゃ手が込んでいる…ね。
…
「柚芽那…」
「あ、ユウト。どう?かわいいでしょ?」
…
「えと…可愛過ぎて目が…目がかわいた」
「プッ、なにそれ?」
「ハハ、なんだろうな。てかさ、浴衣着るなら言えよー。最新型のカメラ用意したのに」
「あはは、なら言えばよかった〜」
…オレたちは、いつも通りの会話をしていたが、でもオレは内心バクバクと心臓が騒いでいた。
これって…もしかしてわざわざオレの為にかわいくしたの?ってさ。
柚芽那は、もしかして…
「あのさ、柚芽那…めっちゃかわいい」
オレの言葉に柚芽那は、一瞬びっくりしていたけど、すぐ笑顔になり
「ありがとう」
って笑った。
柚芽那…そんな嬉しそうにありがとうって…
…
ただの幼馴染とお祭りで浴衣着て…そんな嬉しそうにお礼言うってことは…
もしかして柚芽那とオレって…
やっぱり…両片思いだった⁇
じゃあ、付き合う?
…
いや、それはいいかもだけど…長いスパンで考えたら、非常に危険行為なのである。
もし、別れたら…
このまま付き合って、ケンカして別れて…
そのうち、柚芽那が旦那さん連れて実家帰ってきて、大きなお腹に幸せそうな笑顔をオレは窓越しに見てて…
柚芽那と目があって、カーテンしめて…心のカーテンもしめて…オレは一生だれも愛せないで…
そのうち柚芽那が、かわいい子どもの手をひいて…
「ううゔっ…オレは…」
「えっ⁉︎ちょっ、な、なんで泣いてるのー⁉︎ユウト‼︎大丈夫⁇」
…
「全然大丈夫なわけねーだろ」
「え…?」
オレは柚芽那を抱きしめていた。
「ユウト…?」
「オレ…花火行っていいのかな⁉︎オレには、花火なんか行く資格ないんよ…」
「な、なんで?」
「だって、オレ柚芽那を大好きすぎるからーーっ‼︎」
…
「なに?てか、そんな大声でっ…」
「あ…」
オレは取り乱し過ぎてしまった。
そして告白までしてしまった…
…
ハッと柚芽那の方に目をやると柚芽那がポロポロと涙を流していた。
「えっ、柚芽那…?大丈夫かよ⁉︎」
柚芽那は、オレをキッと睨んで
「大丈夫なわけあるかっ‼︎」
って怒った。
柚芽那も大丈夫じゃなかった。
…
「え…」
とりあえず柚芽那を抱きしめて、なだめた。
「どうした?なにがあったんだよ」
「いや、あんたのせいだから」
…
オレのせい…だった。
告白したから⁇かな…?
なんかわからないけど、一応ごめんって謝った。
すると柚芽那もごめんって謝ってきた。
ごめんってことは…
オレはフラれた…?
幼馴染解散?
一気に心のカーテンがしまるような感覚に陥った。
さようなら。
幼馴染さん。
オレは柚芽那を抱きしめて泣いた。
「柚芽那…ごめんな。オレ…ごめん」
って。
柚芽那も、
「わたしこそ…ずっとユウトのこと好きなの隠せなくてごめん」
って謝った。
「うん。………え?」
オレは柚芽那をベリベリって離して、柚芽那の顔を見て真剣にきいた。
「どういうこと?」
って。
そしたら柚芽那は、二十歳までは付き合っちゃダメって決めていたと教えてくれた。
二十歳になれば、結婚まで早足すればいけるけど、学生のうちに交際するとけんか別れとかして、気まずい大人になってユウトと結婚できなくなるかもだから、ずっと好きを隠そうと必死だったと教えてくれた。
…
で…
オレたちは、どうすればいい⁇
…
そりゃ、もう決まってるよね?
続く。
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