第9話 探索
「暇だ」
ここに住むようになってから数日が経った。最初は建物内の安全確保や掃除で忙しかったが、今となっては全部片付けてしまったのでやらなければいけないことがことがもうない。
しょうがないので筋トレの時間を増やしたのだが、ここ数日のトレーニングの成果か、建物中のプレートをかき集めても負荷が足らなくなってしまった。
「どうしたものか...」
今は状況も落ち着いてることだし、外に出てみようかな。
そこでカバンの中に食料と包帯、タオルを入れナイフを持って3階の窓から飛び降りた。
ゾンビどもが近寄ってくるが走って間をすり抜け、時折ジャンプしてゾンビの頭を足場にする。
そうしてゾンビの群れを抜けてたどり着いた先にあったのは色々なものが置いてある建物---前世の記憶で言うホームセンターがあった。
入口の自動ドアが割られてたのでそのまま侵入すると、工具が置いてあるコーナーに向かう。
前世でも何に使うかよく分かりもしないのにこういうコーナーによく寄ってたな、とか思いながら見てると、どでかいハンマーがあった。
一つ手に振り片手で振ってみる。
「ほう...!」
程よい重さをしていてこれ以上ないほどよく手に馴染む。
もう一つ手に取り両手にそれぞれ握ってるハンマーを振っていると、背後から「ヴァぁぁ」と声が聞こえた。
丁度いいタイミングで来てくれたので試しに横殴りで攻撃する。すると首から上が吹き飛び、期待以上の結果を出してくれた。
腰に金具で固定し持ち歩けるようにする。傍から見ると腰にバカでかいハンマーを差してるヤバい奴だ。
早速良い掘り出し物を見つけ、ホクホク顔で帰ろうとすると外からダンッと、重低音がした。
出てみると以前は逃げることしかできなかった5mはありそうな赤肌の巨人が立っていた。
「ゴォァァァァァァ!!!」
普段のノロノロした動きからは想像もつかない程素早い動きで近寄ってくると、その凶腕を振り下ろしてきた。
それをジャンプして避けると、そのままの勢いで左頬を殴りつける。
「グラァァァ!?」
自分でもビックリするくらいの威力が出て、巨人はたまらず吹き飛んだ。
腰にあるハンマーの存在を思い出し、倒れている巨人の顔に振り下ろす。
「ギャア---」
叫ぶ間を与えることなく脳髄をぐちゃぐちゃにすると、辺り一面スプラッター映画のワンシーンのようになってしまう。
おかげで俺も返り血を浴びてしまい、最悪の気分だ。
シャワーを浴びに急いで帰ろうとすると、何やら遠くの方が騒がしい。
「何だ何だ?」
巨人を軽々と殺せたのもあって気分が良かったのだろう。
普段なら近づかないであろう厄介事の臭いに、俺はワクワクしながら向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます