A日の長

錯千メイハ

A日の長

玄関灯る十九時からの初授業新任教師と息子ほほえむ


一昨日から影が別物息とめて笑いの調べ首かしげ見守る


十一歳の息子が囁く「ちがう人」うなずく私に寒気ひとすじ


随に派遣その惹句に苦くうなずく二十一世紀のパンフレット


十八色の仮面を替えて笑むあの子もっと教えてと師を染め絡め


一歩でも賢きあなたは戻れます夜更けの忠告ランプ揺れおり


育む夢も絡み合い依存芽生え胸奥を締む十九夜ながし


教師の願いを一瞬で映しこむ無垢な瞳に父の血凍る


隣の部屋で聞く授業ノートの音さえ昨日と違う十一月の雨


二十一時戻る廊下で独り言まだみっかめの養子なのにな

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A日の長 錯千メイハ @kunikako12

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