第4話 ざざんざん

道路をわたればろくろっ首

道路をわたればろくろっ首


傘月には、どうにもがまんならないことがあった。

それは、横断歩道をわたろうとしているときに

むこう側にいるひとが何人か、ろくろっ首にみえるのだ。


ろくろっ首というと2種類あって、首がするするとのびてゆくやつと

切り口きれいに斬首されたようなのがひらひら飛ぶのとあるらしいが、道路のむこうは首長竜のほうである。

いかに首筋のばして姿勢よく、首のばす姿がうつくしいとわかって努力しても、前世斬首されて果てたのか、傘月はどうしても首をすくめて歩いてしまう。

「俺への、いやみか」

とにがにがしくつぶやいて、傘月は首長竜を無視する。


また、鴨川では。


ジョギングしている傘月のうしろから、へらへらと斬首首が追い抜いてちらり、ときにはひょっと傘月の前にまわりこんでニヤリとして飛び去ってゆく。


ごうごうごう。

ざぁ~っ。


鴨川の流れを横目に、ろくろっ首も横目に、傘長はきょうもジョギングにはげむ。

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