人罪

夜野 澄香

プロローグ

『許して下さい』と懇願する君の願いを聞かずに私は君の手を離した。

勘違いしないで欲しいのは、私は殺人鬼でもサイコパス者でもない。

そこら辺にいる「普通」の人間だ。

「あ、佐々木くんに報告しないと、忘れてた」

私はスマホを手に取り"佐々木"と書いてある

名前を押した。血で手が滑って思うように打てない。

「あ〜イラつくな」

そうポツリと呟いた後に着信音が鳴り響いた。

『大西さん、今どこですか?まさかあの家に居るんですか___。』

佐々木の言葉を遮るかのように私は電話を切った。

やっぱり報告はしなくても良い。リュックに入っていたノコギリを取り出して、私は

この世界でいちばん憎くて1秒足りとも

忘れる事のなかった女の死体の方へと歩き出した_____。

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