奇妙なオブジェクト


「ア〜〜〜〜〜〜!!!」


「なに!?」


 頭だらけになったゾンビはそれでも生きてこちらに噛みつこうとしてくる。

 しかし一歩も動けない身。バタバタと頭を必死に動かそうとしている姿はゾンビなのに同情心すら感じる。


「リナさん! 問題はなかった! こっちに来て大丈夫! 原因はコイツだ!」


「無事でよかったわ。……待って? この状態でまだ生きてるの?」


「ええ。驚くべき事だけどピンピンしてる。頭を狙わない限り死なないって事でしょうね」


「それは………恐ろしいわね。改めてこいつらの脅威が分かった気がするわ」


 警棒で頭だけゾンビの頭を潰す。これにより生命活動?は完全に停止した。


「行きましょう」


「ええ」


 二人の元へと戻り、声の主について告げると流石に青い顔をしていた。

 頭だけになっても生き残る驚異の生命力。本当に何が原因でこうなっているんだ?




 話しを終え、俺達は再び警察署へと向かう。道中には戦闘を避けることのできない複数のゾンビが待ち構えていたが、全員返り討ちにし先へと進む。

 時間にして30分程。後少しで警察署へ着くことができる。



「なんだコレ……」


 最初に声を発したのはスコッチさんだった。少し遅れてボブさんやリラさんの悲鳴のような小さなうめき声が聞こえる。


 かという俺も少しばかし動揺した。しかし確かにあり得ること。

 可能性として考えていたのでダメージは少なく済むことができた。


 目の前には墜落したヘリコプター。その側には複数のオスプレイも落ちている。

 中には落ちた衝撃でそのまま死亡したであろう兵士達の姿があった。


「駄目ね。生き残りは見当たらないわ」


「でも明らかに人数が足りません。ゾンビになった人以外にもしかしたら生き残りがいるかも」


「やっぱりここの無線も使えない。電波全部駄目になってるのか?」


「お~いお前ら〜! こっち来てくれ!! 良いもんあったぞ!!」


「ボブ? 何があったの?」


 内部の探索状況を確認していると、少し遠くのオスプレイを確認していたボフさんがこちらを呼ぶ。


 因みにスコッチさんはだいぶ腰が動ける用になったらしく、ボブさんの背中から降りて行動することができるようになった。

 まだ痛そうではあるが動くこと自体に問題はないというのがリナさんの見解だ。


 ボブさんの元へと向かう。この辺りはやけにゾンビが少ない。

 もしかしたらこの中に乗っていた人達が生き残っており掃討したという可能性がある。


「きたきた! これを見てくれ!」


「これは……なにこれ凄い量」


 ボブさんの居たオスプレイの中には大量の銃火器。他にも食料や医療品まで入っている。


 これは都合がいい。俺の持つ特殊警棒はもうボロボロ。人の頭を砕き潰す用にできていないのに無理やり使っているからだろう。 

 これを期に物資を調達しないと。


「非常事態…非常事態だからセーフ」


 ブツブツ呟きながら近くにある銃を取り出す。

 『世界で最も多く使われた軍用銃』としてギネス記録に登録されているアサルトライフル。


 AK-47の改良品。AKMを。


 他にもHK416やM14それに89式小銃まである。俺はAKMを背負い、89式小銃を取り出す。


 こいつは日本人の体格に合わせられて作られており、取り回しが楽。扱いやすさは個人的にトップクラスだと思っている。


「…ん?」


 少し市販の物とは違う違和感がある。よく見ると個人用にカスタムが加えられているらしく、ちょっとした癖が感じられる。

 よく調べてみると、他の銃もその大半が改造されていた。


「これは通常の軍人や警察が持つ物とは違うわね。もしかしてこの人達は傭兵なのかしら」


「その可能性は高そうだな。だがこんな沢山の武器や複数台のオスプレイなんて航空戦力。他にもドローンなんかもありやがる。傭兵に関して詳しくねえが結構な大手じゃねえとここまで戦力回せないんじゃないか?」


「そもそも何でここに来たんでしょうか…?

一体誰からの命令で?」


「このゾンビ達を倒すため? となると他の都市は無事なのかしら?」


「そもそもこいつらは何で墜落したんだ? まともに着陸出来てる奴なんて一台も無いぞ?」


「それは急に人が死んだ時に起こった車の事故みたいな物だと俺は思います。ヘリを運転している人が急に死んだら当然墜落しますし、運転手じゃなくても中の人が急に死んでゾンビになったら内部はパニックになるはずだ」


「確かにそのとおりね。まあ今はひとまずここで装備を整えて先に進みましょう」


「食料は僕が持ちます!」


「よっし! これでゾンビの大群が来ても怖いもんなしだ!!」


 各々準備を整え始める。俺は先程の二丁を悩みに悩みカスタムの少ないAKMに変える。

 他にもハンドガンとナイフを装備。念の為ライトと特殊警棒も装備。予備のマガジンも少し過剰に持っておく。


 スコッチさんは防弾チョッキを着ようとして重くてやめていた。

 軽めのハンドガンを二丁。そしてナイフを持つ。


 ボブさんは俺と同じAKMの他にもショットガンを取り出していた。火力の高い武器が好きなのだろうか。

 ハンドガンも取り出していたが、自分の持っている方が使いやすくて良いのかすぐに閉まってしまった。


 リラさんは動きやすさ優先で軽めの装備。アサルトライフルの代わりにサブマシンガンを選択している。


 これで全員の装備は盤石になった。今までのゾンビならどうにかできるだろう。












 今までのなら。




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