第4話

俺はやはり死んだのだろうか。


ピンク髪のツインテールの少女に連れられて歩きながら、そんなことを思う。


何でこのようなことになったのだろうか。何か悪いことをしたのか。陽華と結婚してまだ全然時間経っていないのに。悲しませてしまうな。


死んだのかもしれないとは思うが、それまでの記憶が全く無いので感情が追い付いていかない。もし死んでいたら一大事なのに、他人事みたいな感想が出てくるのはそのせいだ。


ピンク髪の少女がいきなり目の前に現れ当惑する自分をよそに彼女は、


「ここじゃ何だから付いてきて」


と告げて先を進みだした。


頭の処理は追いついていなかった、だからこそ取り敢えずは彼女の言葉に従って後ろを歩いている。


少し歩いて、近くの公園の人目が付きにくい場所に到着すると同時に彼女は振り返った。


初めて彼女の顔を見た第一印象としては、「この世のものではない」というものだ。

ピンク色の髪、緑色の瞳、高い鼻、薄いピンクの唇。それらが、計算されたかのように顔に配置されている。あまりに整い過ぎているがゆえに「可愛い」とか「美人」という言葉が出てくる代わりに、そんな感想が出てきた。


そんな彼女が無表情のまま凛とした声で言う


「ここなら大丈夫かしら。早速本題に入らせてもらうけど、あなたに伝えなきゃいけないことがあるの」


緑色の瞳に射すくめられる。思わず身構える。

少しの沈黙、そしてこれまで無表情だった彼女に逡巡の色が見える。


「とても伝えづらいことなのだけれども……」


ああ。なるほどな分かってしまった。どういう理由かは分からないが、俺は死んでしまったようだ。そして彼女はそれを伝えようとしている。


それならば、さっさとそのことを伝えて欲しい。どうせ結論は変わらないのだから。


「ちゃんと聞く……早く伝えてくれ」


それにしても神様は不条理だ。ようやく愛する人と結ばれることが出来たのに、俺から、いや俺たちから幸せを奪うなんて。普段全く神は信じていないが、悪態を付いてしまう。こうなった以上は仕方ない、せめて残された陽華は幸せになって欲しい。


そのようなことを思いながら、一つ深呼吸をする。彼女がゆっくりと口を開く。一瞬のはずの時間が、とても長く感じられた。そして出てきた言葉は、


「本当に申し訳ございませんでした!!!!!」


人生長い間生きてきて、初めて聞いた全力の謝罪だった。めちゃくちゃ綺麗なガチ土下座を添えて。


「・・・・・・え?」


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