第3話
「いってらっしゃい!」
「うん。行ってくる」
そう言ってドアを開けると、全く見知らぬ景色が目の前に広がっていた。
いや、こう表現すると異世界に飛ばされた感が出るがそうではない。周りに多くの住宅が立ち並び、子供の声がどこから聞こえてくる、いわゆる普通の住宅街なのだが自分が住んでいた街のそれとは全く違うのだ。
そんな動揺を隠しながら、ドアを閉める。ちなみに今着ている制服も、俺が本当の高校生だった時に来ていた野暮ったい学ランとは違って、もう少しおしゃれな制服だ。もはや、制服など些末な問題ではあるが。
「どうやって学校向かえばいいんだ……」
正直自分が行く学校の名前も場所も、そしてここがどこかも全く分からない。そう思ったと同時に、思わず苦笑する。
「何、真面目に学校に行こうとしてるんだ」
今の状況は全くつかめないが、おそらく夢か何かを見ているのだろう。少なくとも「現実世界」には居ない。であれば高校に行っている暇はない。自分がやるべきことは「現実世界」に戻る為の手がかりを探すことだ。とはいえ手がかりになりそうなものは何一つとしてないか
「取り敢えず、どこかで時間潰すか」
手がかりがない以上は時間に委ねるしかない。投げやりかもしれないが下手に動かずじっとしている間に、時間が解決してくれることは往々にしてある。
「カフェか、いや高校生が午前中からカフェにずっと居るのも怪しまれるか……」
そんなことを考えていると突然、目の前が光で覆われ思わず眩しさのあまり目を閉じた。
「なななな、何だお前は!?」
数秒後、目を開けるとそこには
ピンク髪をしたツインテールの少女が居た。
浮いた状態で(物理)。
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