罪を背負い子供の姿となった元新選組隊士の、異国での再生と赦しの物語

時を越えてなお、心に刻まれた罪と赦し。その重さに耐えながらも、人は前を向こうとする——。この物語は、新選組の元隊士・山崎烝が、少年の姿で異国の地・上海に身を潜めながらも、自らの過去と向き合い、人として再び生きようとする優しくも切ない物語です。

彼を囲む人々もまた、それぞれに傷や“訳”を抱えながら、少しずつ互いの想いを受け止めてゆきます。なかでも、沢本さんとの静かな会話のやりとりには、言葉では言い尽くせないほどの温かさと信頼がにじんでいて……読んでいて胸がじんとしました。

やり過ぎた過去を背負いながら、それでも誰かのために生きようとする姿が、とても愛おしいです。人は変われる、ということを、こんなにも静かに、力強く伝えてくれるお話でした。続きをそっと待ちたい、そんな気持ちにさせてくれる作品です。

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