冷蔵庫完備、IHヒーターつき、Wi-Fiもある(たぶん)。
こんな無人島、聞いてない。
目を覚ましたら、九条一歌がいた。
透き通る黒髪、品のある佇まい、天然な破壊力。
そしてなぜか、告白に命を賭けている。
「今度こそ、絶対に振り向かせてみせるの!」
ストーカーから救われた高校時代、山中での遭難未遂、銀行での茶番劇。
毎回壮大なラブコメを演出するお嬢様。
今回は無人島にふたりきりという、どう考えてもクライマックスな舞台で挑む。
でも朝陽は、全部気づいている。
最初からバレてる。全部わかってる。
それでも彼は、何も言わず、ただ彼女の隣にいる。
なぜなら、その恋が、もうとっくに始まっていたから。
おかしな使用人たち。
ざわつく家族。
見守るドローンと、仕掛けられたシナリオ。
二人の恋心が交差する、極上の無人島ラブ・サスペンス。