第2話
煙草の火がオレンジ色に揺れている。
煙が肺の奥に入り、神経を鈍らせていく感覚に、私は少しだけ安堵する。
何も考えなくていい。ただ煙を吸って、吐くだけの時間。
これがないとやってられない。
カーテンの隙間から差し込む光が、薄暗い部屋の埃を照らす。
テレビは依然として市民側の怒りを垂れ流していた。
「このままでは行けない。政府よ、何をしているんだ」
疲れないのかな……その疑問が脳裏をよぎったが無駄な考えをやめ、テレビを消すと部屋が静寂に包まれた。
その沈黙を破ったのは、携帯の着信音だった。
ディスプレイに表示された文字は《内務局:特別指令》。
私は無言で通話を取り、受話器越しに指令を聞く。
「中央議会前にてデモ。出動を要請する」
通話はそれだけで切れた。
息を吐き、煙草を灰皿に押しつける。
「……またか」
疲れが足にのしかかるようだ。
それでも、立ち上がらなければならない。
黒のジャケットを羽織り、ブーツを履く。
ドアを開けると、灰色の空が出迎える。
ビルの隙間をすり抜けてくる風は、煙草の匂いをどこかへ攫っていった。
歩きながら、考える。
誰もが「正義」を掲げて戦っている。
でもその正義が、誰かにとっての悪になることを、もう皆わかってる。
それでも人は叫ぶんだ。「この社会は間違っている」と。
私には、もう正義なんてない。
信じるものも、守るべき理想も、全部擦り切れて無くなった。
今あるのはただ一つ、「役割」だけだ。
政府に必要とされる限り、私はそれに従う。
どれだけ誰かを傷つけようと、踏みつけようと。
その後悔すら、もう感じなくなってしまった。
交差点の角にあるコンビニが視界に入る。
思い出したように足を止めて、プリンを買う。
こういう小さな楽しみがなければ、たぶん私は壊れてしまう。
任務に向かう前の儀式のように、甘さを口に運びながら、
私はただぼんやりと、これから潰す“誰かの正義”のことを考えていた。
―――――――――――――――――
現場に着くと
そこにはおよそ20人程度の市民が各々武器を持って闊歩していた。
私は煙草に火をつけ口に咥える
そして議会の前にある階段に座り話しかける
「疲れねぇか?」
と。奴らの頭の上には、はてなマークが出ていたから詳しく教える
「意味の無いことをして疲れないの?」
と
するとリーダーと思われる人物が口を開く
「意味が無くてもデモを起こして少しでも考えてくれるのならば、俺たちには意味がある」
「はぁ……」
私はため息と一緒に煙を外に出しながら事実を述べる
「政府が本当に考えると思うか? 」
と。正直言って私はどうだっていい。
政府が変わっても変わらなくてもプリンが買えればそれでいい。
愚民共には分からなかったらしく
私の話を無視しデモ活動を再開する。
私は異能を発動させる。
煙が奴等に覆いかぶさり
ドサドサと倒れていく。
数分後、全員倒れて、警察に連行されて行った
「はぁ……」
と溜め息を吐き出し煙草を議会の前の階段に捨てたのと当時に今日も誰かの"正義"が煙によって消されたのだった
煙草と血と異能 wkwk-0057 @wkwk-0057
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