第11話

第十一話 隠れ家と新たな仲間たち


黒瀬深月に導かれ、悠斗は夜の街を素早い足取りで進んだ。彼女は ミニマムな会話しかせず、その表情は依然として 冷たかったが、その行動には確かな方向が感じられた。


しばらく歩くと、二人は老朽化したビルの裏口にたどり着いた。深月は手慣れた様子で電子ロックを解除し、悠斗を中に招き入れた。


ビルの内部は外見からは想像もできないほどオーガナイズドされていた。简素ながらも清潔な空間には、生活に必要な ミニナルな設備が揃っており、数人の若い男女が思い思いの時間を過ごしていた。


深月の姿を認めると、彼らは一斉に顔を上げ、警戒の色を露わにした。しかし、深月の隣に悠斗がいるのを見ると、その表情は驚きへと変わった。


「深月、彼は……?」


最初に声をかけたのは、短く刈り込んだ髪の活発そうな若い男だった。鋭い目は状況を把握しようと、悠斗をじっと見つめている。


「彼は、新たな仲間よ」と深月は簡潔に答えた。「紹介するわ。雨宮悠斗くん。そして、こちらが蒼井 隼人(あおい はやと)、白石 恵(しらいし めぐみ)、緑川 聖(みどりかわ ひじり)、黄瀬 涼(きせ りょう)」


紹介された四人は、それぞれ個性的な雰囲気を持っていた。隼人はエネルギッシュで警戒心が強く、恵は優しそうな微笑みを浮かべ、聖は知的そうな眼鏡をかけ、涼はどこか不本意そうな表情をしていた。


悠斗は緊張しながらも、一人一人に軽く頭を下げた。「雨宮悠斗です。よろしくお願いします」


深月は続けた。「悠斗くんも、私たちと同じように、特殊な力を持っているわ」


その言葉に、隼人たちは興味深そうな視線を悠斗に向けた。「どんな力だ?」と、隼人はすぐに質問を投げかけてきた。


「僕は……ほんの少しだけ、未来に跳躍する力です」と、悠斗は自分の能力について説明した。


隼人たちは驚いた表情を見せた。特に、恵は目を輝かせながら、「未来が見えるなんて、すごいですね!」と心から感嘆の声を上げた。


深月は状況をまとめようとするように言った。「悠斗くんは、政府に追われている。今日、私たちが彼を助けたの」


その言葉に、隼人たちの表情は再び引き締まった。「やはり、政府も動き出したか」と、聖は深くため息をついた。


「私たちは、この隠れ場所で、政府の監視を避けながら、自分たちの力について研究し、互いに助け合って生きてきたの」と、恵が優しく説明してくれた。


悠斗は周りを見回した。簡素ながらも、確かにそこには、見えない脅威に怯えながらも、互いを支え合って生きようとする人々の絆が感じられた。


「僕に、何かできることはありますか?」と、悠斗はきっぱり尋ねた。


隼人は腕を組みながら、悠斗を評価できるように見つめた。「お前の力が、本当に未来を跳躍させるものなら、俺たちにとって貴重な戦力になるだろう」


聖は冷静に言った。「ただし、政府に情報が漏れないように、 厳重に行動する必要がある」


涼は相変わらず不本意そうな表情で、「また、面倒なことになりそうだな」と呟いた。


恵は笑顔で言った。「でも、仲間が増えるのは嬉しいです!一緒に、これから頑張りましょう!」


深月は静かに言った。「まずは、悠斗くんの能力を詳しく知る必要があるわ」


こうして、悠斗は深月たちと共に、新たな生活を始めることになった。彼らは皆、様々な特殊な力を持っており、政府という共通の敵に対して、 隠れた戦いを続けている仲間たちだった。


自己紹介が終わった後、恵が温かいスープとパンを用意してくれた。久しぶりに 落ち着いた食事をとることができた悠斗は、わずかながらも安心感を覚えた。


食事の後、隼人はすぐに悠斗の能力について詳細な情報 を求め始めた。「お前の言う未来への跳躍というのは、具体的にどんな感じなんだ?どのくらいの時間、未来に行けるんだ?」


悠斗は、これまで自分が体験したことを詳しく説明した。時間が止まったように感じること、ごく短い時間であること、そして、夢を通して未来の断片を見ることがあること。


隼人は彼の説明 を注意深く聞き終えると、腕を組みながら深く 頷いた。「なるほどな。それは、俺の力とは全く違うタイプだな」


「隼人さんの力は?」と悠斗が尋ねると、隼人はニヤリと笑って、手のひらを 開いた。すると、 彼の手のひら の上で、 明るく光る電気が手を染め始めた。


「俺の力は、 エレクトロキネシス 。 電気を自在に操ることができるんだ」


その力を見た悠斗は、改めて彼らが一般大衆ではないことを実感した。


次に、恵が 彼の能力 について説明してくれた。「私の力は、植物とコミュニケーションを取ることができるの。植物の成長を促進したり、 状態 を読み取ったりすることができるわ」


彼女が優しく近くに置かれた観葉植物に触れると、 植物は 見える道に活力を取り戻したように見えた。


聖は順に 、眼鏡の奥の眼を光らせながら言った。「私の専門は、 テレキネシス だ。物体を念力で動かすことができる」


彼はデモンストレーションとして、テーブルの上に置かれた スプーンを念じただけで浮遊させた。


最後に、涼は面倒くさそうに少量の 水 を触れた。すると、 彼の指先 から触れた部分だけが、 氷結 し始めた。「俺の力は、 氷を操ること だ」と、彼は 不本意そうに言った。


悠斗は、目の前で繰り広げられる信じられない光景に、ただただ驚嘆するばかりだった。自分を含めて六人。それぞれが、 普通の人間 には到底及ばない特殊な能力を持っている。


「まだ、あと一人、仲間がいるはずだ」と、深月は静かに言った。「まだ、この場所には来ていないけれど」


七人……夢の中で暦が見た数字が、現実のものになりつつあった。


しかし、これだけの力を持つ彼らが、なぜ政府に追われなければならないのか。そして、政府の真の目的 は一体何なのだろうか。


新たな隠し場所で、新たな仲間たちと共に、悠斗の戦いが、今まさに始まろうとしていた。

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時をかける僕と七人の超能力彼女たち @tenshoku

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