#4このゲーム知ってるかも

2回目のゲームが始まった。

気づいたらまた飛行機に乗っていた。

さっきとは飛行ルートが違うようだ。

これもバトルロワイヤルにはよくある設定だ。

やはり、ここはゲームの中のようだ。

だけど、僕が知っているバトルロイヤルゲームではない。

さっきのゲームで僕が降りた場所は僕が実況したことがあるバトルロワイヤルでは見たことがない場所だった。

飛行機のデザインも僕が実況していたものはいかにも軍事用の物って感じだったが、今僕が乗っているのは旅客機のようなデザインだ。

おそらく、ここはゲームを模した世界なのだろう。

とりあえずマップの中央付近で飛行機から降りてみる。

さっきは気づかなかったが、何も意識しなくても空中でバランスをとれている。

降りているうちに小さな集落が見えた。

今のところ誰も向かってなさそうだったのでそこに降りることにした。

目標の地点に目線を合わせると自然とその方向に進んだ。

どうやら空中で姿勢を保ったり、進行方向を変えたりするのには難しい技術はいらないようだ。

「規定の高度に到達しました。パラシュートを展開します。」

ある程度の高さまで降りると自動でパラシュートが開く。

この仕様もバトルロワイヤルゲームらしい。

周りを見ると、僕の他に2人のパラシュートが見えた。

どうやらさっきまでは見えなかっただけでここに向かっている人がいたようだ。

でも、僕が1番早く着地できそうだった。

こういうアドバンテージは大きい。

僕は着地するとすぐさま近くの家に入った。

家の中にはリュックがあった。

僕が実況していたバトルロワイヤルは始めから持てる武器や回復などの物資の量は決まっていたが、ここではリュックを背負ってこの中に物資を入れたり、横に武器を収めたりするようだ。

僕は実況していなかったけど、こういうタイプのバトルロワイヤルがあることは知っていた。

僕はリュックを背負う。

そういえば、このリュックどのくらいものが入るのだろう?

こういう時はあのどこからともなく聞こえる声に頼ろう。

「リュックの容量を教えて。」

「装備のステータス画面を表示します。」

そう返ってくると、装備やそのステータスが確認できる画面が出てきた。

僕の装備は今のところリュック中のみ。

当たり前か。

このリュックは結構大きいと思ったけど、これが中サイズなら大サイズはさらに大きいのか。

かなりのものが入りそうだ。

そうやら武器はメインのものとサブのものが2つずつ持てるようだ。

合計4つ。

物資は10ポイント分入るとあるが、単位が個じゃなくてポイントなのはどうしてだろう?

わからないことだらけだが、とりあえず今は家を探索するのを最優先にしよう。

僕は家の中を見て回ったが、武器も物資もなかなか見つからない。

2階に行ってみるとそこには包帯があった。

これはおそらく回復物資だろう。

リュックに入れると残りの容量が9ポイントになった。

さらに辺りを見回すと、小型のナイフとピストルがあった。

良かった。

これでひとまずは戦える。

でも、バトルロワイヤルで小型ナイフがあるなんて珍しい。

どこかで見たことある気もするけど、思い出せない。

このピストルも初めて見る気がする。

とりあえず、性能を調べよう。

「装備のステータスを表示して。」

「装備のステータス画面を表示します。」

本当に便利だ。

これからもお世話になるだろうからこの声のことはオペレーターと呼ぶことにしよう。

ステータスを確認すると、武器名はピストル。

それだけ?

僕が実況していたゲームでは武器名はアルファベットと数字で表記されていた。

初めの頃は武器を覚えるのに苦労した。

まあ、この方が覚えやすいしいいか。

使用する弾は小口径。

ピストルと一緒に20発ほど落ちていた。

ピストルは1回のリロードで6発撃てる。

連射はできないし、射程は7段階評価の3番目。

ナイフが1番目であることから銃の中では射程が短い方なのだろう。

どのゲームでもピストル系の武器は基本的に弱めだ。

おそらくこのゲームでもそうなのだろう。

ていうか、ピストルって小型ナイフとサイズ感変わんないのにメイン武器の分類なのかよ。

ますます人気なさそう。

と考えていたら、近くで足音がした。

おそらくさっき一緒に降りていた敵だろう。

家の中に入ってきた音がした。

この感じおそらく僕に気づいていない。

階段を上がってきたところを奇襲しよう。

悪く思うなよ。

これも立派な作戦なんだ。

特に初心者のうちは何でも突っ込むのは悪手だ。

階段を登ってきた。

僕はすぐさま頭に狙いを定めて引き金を引いた。

しっかり直撃。

なのに敵はまだ死ななかった。

え?何で?僕さっき1発で死んだよ?

一瞬戸惑ったが、すぐさまもう1発撃つ。

また頭に当たった。

今度こそ敵を倒した。

もう一度ピストルのステータスを確認する。

ダメージは胴体は1発25。

頭は1発50。

なるほど。

このゲームでもプレイヤーにはHPが存在して必ずしも1発で倒せるわけではないようだ。

冷静に考えれば当たり前だ。

必ず1発で死ぬFPSなんて面白くない。

さっき僕が1発でやられたのはスナイパーだったからだろう。

でも、このピストル使用感いいな。

反動が少ないし、動きやすい。

案外いい武器かも。

なんて考えているうちにオペレーターの声がした。

「ミッション1クリア。また、プレイヤーのキルに成功したため、コインが500追加されます。さらに、ピストルでの連続ヘッドショットを達成したため、スキル【拳銃使い(ピストルマスター)】を獲得しました。」

ん?スキル?

そうか、わかった。

このゲームは『バトルロイヤルX』だ。

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